鮭文化と鰤文化

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2005年の年頭に当たって、呑んだり食ったり話したり.........、

大晦日の夜を、日本酒とシャブリを呑みながら、鮭の 簸ずナマス(氷頭なます、ひずなます) と、鮭とイクラの親子漬け 等を突っついています。

(アッ、貧乏な私は、いつもこんな贅沢をしている訳では有りません、普段の酒の肴はイカの塩辛が有ればそれでもう充分です。少し贅沢を言わせて貰えば、夏はホヤ、冬はナマコ等が有ればもう言うこと無しです。)

横で家内から声が掛かりました。
「それ(ひずなます)って、何のさかな?」
そこで、思慮深い私は深い思索におちいりました。
ひず は勿論、鮭の鼻っ面を薄くスライスしたものです。

    

 

日 本は、例えば「鮭文化圏」と「鰤文化圏」に分けることが出来ます。その境界線は、太平洋側は知りませんが、日本海側に限って言えば、フォッサマグナ(糸魚 川-静岡構造線、要するに日本地図を見たときに、本州のほぼ中央で縦方向から横方向に折れ曲がっている、そのラインです)を境にして、切り替わるみたいで すね。

私の出身県である新潟は、ハッキリした鮭文化圏です。
その中で特に村上市は、三面川を遡上する鮭を使っての鮭文化で、全国的に有名です。例えば「鮭の酒びたし」なんて絶品が有って、これは鮭文化の一つの象徴でしょう。
村上の鮭文化は村上藩の藩士達の、言わば藩を上げての冬仕事から始まったらしく、同じ塩引きでも切腹を厭う武士らしく、必ず腹の一部を残して切り開きますし、つるす時も「首つり」に繋がると言うことで、頭の方では無く尻尾から吊るします。

糸魚川の親知らずを挟んで、すぐ隣は富山県ですが、鮭、鰤、どちらだったかイマイチ記憶が有りません。しかし富山湾に面した氷見港は天然ブリ日本一の水揚げ港ですから、やはり鰤文化圏なのでしょう。
石川県の金沢などはもうハッキリした鰤文化圏です。「蕪寿司」と言う名品がありますが、加賀百万石の歴史を背負った、鰤文化の象徴でしょう。

ところで、今、紅白歌合戦を横目に見ながら私が「深い思索」に陥ったのは、我田引水ながら、鰤に比べての、日本における鮭の文化の深さです(西日本側からの抗議は多いに受け付けます)。

鮭は勿論、生の物を焼いたり煮たりすることも有りますが、捕獲が季節に限定されると言うことも有って、その保存方法のバリエーションが本当に多彩ですね。
最初は単に保存の為のノウハウだったのかも知れませんが、結果的にはそれが味覚のバリエーションに繋がって来たような気がします。

塩 引き(この中でも、甘塩だの辛塩だの、本が一冊かけるほどのバリエーションが有りますな、酒びたしなどはその一つでしょう)、燻製(つまりスモークサーモ ン)、生食(刺身ですが、かって淡水河川で捕獲される魚介の常として、寄生虫の危険がありました、最近は冷凍などの技術で、サーモンの刺身は至ってポピュ ラーになってきました)。氷頭なます だとか、色々な漬物(発酵食品)にも幅広く利用されていますぞ。

それに比べて、鰤なんか、何ですか。
鰤の照り焼き、うん、これはまあとても美味しい。鰤大根、これも捨てがたい。
でも、これはみんな調理方法のバリエーションだよな。

鰤も勿論良い魚ですが、新潟生まれの私としては、「深い思索」の結果、断然鮭に一票です(文句が有ったら聞こうじゃないか)。
ところで、私のお祖父さんは、鮭のことをいつも「アジ」と言っていました。
「鯵(あじ)」と言う魚は別にあって、それはそれとして、とても美味しい魚ですが.........、
北海道などでは鮭のことを「秋あじ」と呼んでいるそうですね。何か語源的な因縁があるのでしょうか。?

    

 

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このページは、雄が2004年1月 1日 20:31に書いたブログ記事です。

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