【カエルのお話】

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RE snさん

多分、森の中でのヒト種分化の説明が難しかったんでしょうね。
何時ものこととは言え、質問に直接答えるのでなく、長々とカエルのお話。

 

>でも,実際の進化というのは「そういうもの」なんですよ
なぜ,そう言えるのかというと,「森林という環境の中」で多様な種が分化してきたと考えられる例は枚挙に暇がないからです
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10275

進化の結果としての、現在の生物多様性の問題を、その多様性をもたらした種分化の原点の問題にすり替えているだけです。要するに原因と結果の恣意的な混同です。
今現在の生物の多様性は、種分化の結果で有って、その原因の説明にはなり得ない。

 

    

 

熱帯雨林が生物多様性の宝庫であるように「『森林という環境の中』で多様な種が分化してきた」ことなんか当たり前のことですよ。snさんらしくもない、何を今さら。
その当たり前のことを並べ立て、生物進化の歴史で唯一ヒトだけが獲得した、直立二足歩行獲得メカニズムの説明にしようとしても、それは土台無理です。

カエルでも鳥類でもそうですが、環境(ニッチと言ってもいいのかな)に合わせ、様々な形質、種分化が有ることは、snさんに言われるまでも無く周りを見れば直ぐ分かる常識です。それが生物進化ってもんじゃないんですか。
種としては単一の人間でさえ、棲息する環境によって肌の色や身長、眼や髪の色も皆違うのに、様々な種のカエルや鳥類がそれぞれに違わなかったら、その方がよっぽどおかしい。

ヒトの直立二足歩行を聞かれて、身体の大きさや生態のまるで異なるカエルを持ち出してこざるを得ないこと自体、説明不能を白状しているようなものだと思うし、そんな比較はフェアじゃないと思うけれども、若しカエルでどうしても比較したいと言うんなら、進化の結果としての現在の多様性をアレコレ並べるのでな く、その多様性をもたらした原点に立って、次のように問題を建てるべきです。

『問題』
主として地上に棲息し、水の中に卵を産む祖先種Aと言うカエルがいたとして、環境も変わらず生殖隔離も無い状況で、水の中に卵を産み続けるのに特に問題が無い中、種分化により空を滑空するカエルが出現した例が有るか?

......と。
単一種の人間だって、snさんの言う「幼生や成体の生息場所として利用できる環境は多様」を求めて、地球全域に広がり、それぞれに多様性を見せている。
それを根拠に、700万年前の「森林環境の多様性」を講釈され、そこでの直立二足歩行の可能性を説教されても、何の意味も無い。同じことですよ。

 

私はカエルのことは知らないが、おそらくそれぞれに研究されていて、泡巣や滑空するカエルについても、その専門分野ではキチンとした「特別な説明」が付いている問題だと思います。
しかしヒトの直立二足歩行起源について、まともな説明はされてこなかった。唯一、主流とされたサバンナ説、イーストサイド・ストーリーも、今回破綻が確定してしまいました。

「森林説」はその破綻したサバンナ説によってさえ、実はとっくの昔に否定されていた説だったのです。

  • 700万年前、森の中で隔離も無いなか、何故チンパンジー系統とヒト系統が分岐したのか、分岐しなければならなかったのか。
  • 直立二足歩行がそれ程に森の中で適応的なものならば、何故他の類人猿の、例え1種だけでも同じ道を辿らなかったのか。
  • ヒトだけの無毛性が、森の中で発達するものなのか。何故ヒトだけなのか。

その他、etc エトセトラえとせとら.........、

これらの説明不能な元々の疑問が、サバンナ説の破綻によって昔の名前で出て来た「森林説」によって、そう簡単に説明可能になると言うものでは無いんですね。
私が前に言ったように「森林の中だけで問題を解決しようとした時、避けられないジレンマ」なんですよ。

説明しようとして、結局言えるのは「実際の進化というのは『そういうもの』なんですよ」と言う、むなしいご都合主義と、そのいい訳としての生物の多様性位のものでしかないのでしょう。

ダーウィンが進化論の着想を得たのは、島によるフィンチの形状の違いからですね。
そこには海で隔てられた生殖隔離と、主に餌となる木の実などの違いと言う、環境・淘汰圧の違いが有り、ダーウィンはそれを説明できたからでしょう。
その説明抜きに単なる現象の羅列で「そういうものなんですよ」だったら、博物学の書にはなっても「種の起源」にはならなかった筈です。

 

>「森林内では淘汰圧が同じであるハズだから,種分化が説明できないので, 隔離なしの『同じ森林という環境下』で,種分化があったと主張する為には特別な説明が必要だろう」とは,普通は考えませんよね

考えないのはsnさん位のものじゃないですか。或いはそう言うことに全く問題意識を持たない人か。
森林の多様性を反映して、数多くのサルたちがそれぞれにユニークでバリエーション豊かな適応を見せています。サバンナに進出したサルもいる。
問題はその中でたった一つ、ヒトだけが直立二足歩行を発達させた、その説明です。
それを聞かれて「そういうものなんですよ」では、ダーウィンも泣きたくなるでしょう。

「雄さんの質問がトンチンカンな理由」とのタイトルを掲げて頂いたが、私からすればsnさんの回答の方が、よほど「トンチンカン」だと思わざるを得ない「今日この頃」。

    

 

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このページは、雄が2010年2月20日 10:47に書いたブログ記事です。

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