(2012/6/14 新聞赤旗)
チンパンジーそっくり ■違いは0.4%
国際グループ科学誌に発表
アフリカに住む大型類人猿で、ヒトに最も近い動物の1種であるボノボのゲノム(全遺伝情報)を解読したとドイツのマックス・プランク進化人類学研究所を中心とする国際グループが、14日付の科学誌『ネイチャー』電子版に発表しました。
これでチンパンジー、ゴリラ、オランウータンを含む大型類人猿のゲノムの解読は全て終了しました。研究グループには日本の研究者も参加しています。
ボノボはアフリカ中央部、コンゴを流れるコンゴ川の南側に広がる熱帯雨林だけに生息する動物で、チンパンジーに外見が良く似ています。200万年ほど前にコンゴ川が出来た時にチンパンジーから分かれて独自に進化したとみられています。チンパンジーのようにオス同士が激しく争ったり、群れのオスが集団で別の群れのオスの集団とたたかうと云った行動が見られないことから、ヒトの社会形成の進化との関連で注目されています。
研究グループは、ドイツのライプチヒ動物園で飼育されている雌のボノボ「ウリンジ(18歳)」のゲノムを解読することに成功。ヒトやチンパンジーのゲノムと比較した結果、ボノボとチンパンジーの両方ともヒトと約1.3%の違いを持っている一方、ボノボとチンパンジーの間の違いは約0.4%であることが分かりました。
これはボノボとチンパンジーの分岐に関する説を支持する結果です。
又、ヒトのゲノムにはボノボに最も良く似ている領域と、チンパンジーに最も良く似ている領域が混在していることも分かりました。
今後の研究でこれらの領域がヒト、チンパンジー、ボノボの行動の類似点と相違点にどのような影響を与えているかが明らかになると期待されています。
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