『新聞赤旗』2013/2/2 転載
”他人”の上手なやり方 見習います
チンパンジーもヒトと同じように、別のチンパンジーやヒトの道具の上手な使い方を見習っていることを、京都大学霊長類研究所の山本真也特定助教たちのグループが実験で確かめ、30日付のオンライン科学誌『プロス・ワン』に発表しました。
実験はジュースが入った容器を透明な壁の外側に置き、壁にあけた小さな穴からストローを容器に差し込んで、飲んで貰うというもの。最初、年齢が7歳から41歳までの9頭のチンパンジーに1頭ずつやって貰いました。その結果、4頭はストローで吸いましたが、5頭はストローを取り出しては先端に付着したジュースを舐めるやり方を繰り返しました。
ストローで吸ったグループは50mlのジュースを30秒以内に飲むことが出来ましたが、先端を舐めるやり方をしたグループは10分掛かっても飲めたのは最大20ml程度でした。
次に、先端を舐めるやり方をしたチンパンジー1頭を、ストローで吸ったチンパンジー1頭と一緒にして実験しました。先端を舐めるやり方をしていたチンパンジーは、別のチンパンジーがストローで吸う様子をまじかで観察し、自分も同じようにストローで吸うように変りました。
先端を舐めるやり方をしていた5頭のうち4頭がこの実験を通して、ストローで吸うようになりました。もう1頭も、人がストローで吸うのを見て自分もストローで吸うようになったと言います。こうした能力は年齢に関係が無いことも分かりました。
他社の技法を見て学び効率を改善することは、世代を重ねて文化を発展させる「累積文化」に取って重要で、これまではヒト特有と考えられてきました。今回の研究結果は、その基盤をチンパンジーも持っていることを示していると研究グループは考えています。
コメントする