『進化の傷あと』 エレイン・モーガン

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現代人を悩ます様々な身体的トラブル ――
その多くは、およそ500万年前、
人が類人猿から人へと移行した、そのことに起因している。
われわれは、なぜ、今も、”進化の傷あと”を
受けついでいるのか ――
”アクア説”なら、その説明が可能である。

 

    

 

人類の出現

「進化は過去に起こったことへの反応として生じるのであり、将来起こる筈のことに合わせて生じるのではない」(16p)

オーストラリアにはかって、モグラのように地中を掘り進む原始的な哺乳類が生息していた筈だ。そしてその生息環境が徐々に水中に没していた時期が、必ず有ったに違いない。さもなければ、アヒルのような口ばしを持つカモノハシが、この世に誕生する筈はなかったのだから。(16p)

化石の読み方

「比較解剖学的知見から生み出された仮説が、後になって、新たに発見された化石によって否定されたなどと言う例は、過去に一度もない」-エルンスト・マイヤ(ハーバード大、解剖学者)

アフリカでの人骨化石発見、一つの傾向
北で見つかる化石ほど、時代の古いものだった(34p)

分岐年代

  1. 1960?1970年代初頭 ―― 3000万ないし5000万年前頃と推定されていた。
    1967年、分子による分岐年代の推定 ―― 500万年前
  2. その後、チャールズ・シブリー、ジョン・アールクヴィストが、それぞれ独自にDNA交雑法 ―― 700万―900万年前。
  3. ディビッド・ピルビームの告白、1984年新聞「人間の祖先の枝分かれのさまを知る上では、化石よりも分子の語ることの方が役立つことが、今日ではハッキリした」

直立二足歩行がもたらす悩み

「全ての四足動物にとって、走る為に後ろ足だけで立ち上がるなどと言うのは、およそ正気の沙汰ではない。実に馬鹿げた行為なのだ」 ―― オーウェン・ラヴジョイ

歩く吊り橋→歩く塔

背骨
アーチ→真直ぐ→S字型

  • 腰痛
    一つ一つの椎骨は、上の椎骨の重さを全て支える→椎間板が押しつぶされる(全体で、1日2センチ半)
  • 太い足、大きな尻(片足?体重の1/6)
  • 内蔵の位置保持
    胸部は問題がない。肋骨と横隔膜
    腹部―哺乳類は例外なく腹部に肋骨がない(妊娠の為だろう)。下腹部の3つの筋肉が交差して支える。?しかし、そけいヘルニア。
  • 立ちくらみ
  • 足のむくみ、静脈瘤
  • 痔(直腸や肛門に起こった、静脈瘤)?四足動物は、尻が心臓より高い。
  • 直立による、アドレナリンの増加、6倍。
  • 高血圧
    血圧センサーの、1番主なものは首にある。

初期人類(ルーシー)

  • 現代人の足、踵からつま先まで、足全体の26%、
    ルーシー、35%(スキンダイビング用の足ひれをつけたまま陸地を歩くよりは多少ましとはいえ、それと大差ない状態―ロジャー・レーウィン)
  • 膝関節を伸ばしても180度以上に開かずに止まるメカニズムは、ルーシーでは不完全―クリスティーヌ・タルデュ、イヴ・コバン

    

 

各種二足歩行起源説

  • 危険をいち早く察知する
    パタスモンキー、プレーリードッグ、ミーアキャット
    察知した後、逃げる時二足歩行をする種はいない。
  • 獲物を追いかける為
    一番の反論、ルーシー。大きな脳、道具、武器を用いての狩り、全てに先だって直立二足歩行獲得。事実、アウストラロピテクス類の歯に、肉食動物の特徴は無かった。
  • 両手は採食用として―クリフォード・ジョリー
    ゲラダヒヒ(一応は二足歩行だとされている)の採食行動。しかし地面から直立しているのは、骨盤から上の部分?尻は殆ど地面についている。
  • 省エネ説
    進化は将来の得べかりし利益は拾ってくれない。
  • 食物運搬説―オーウェン・ラブジョイの仮説
    二足歩行獲得の場所は、サバンナではなく森(「不完全な二足歩行でサバンナに出たなら、たちまち命を落とす。だから森で獲得してから、サバンナに出て行った」)。それもねぐらで待つメスに食物を持ちかえる為に。?決定的な論理矛盾。因果関係の逆立ち。
    ○一夫一妻制の発達は、ホモ・エルガスターのじだいから。
    ○ 一雌一雄の種で、オスが食物を持ちかえる種は居ない。
    ○霊長類で、決まったねぐらを持つことはない。仮に持ったとしても、地中。
  • 真昼の暑さを避ける為。

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このページは、雄が2012年2月27日 08:21に書いたブログ記事です。

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