「5万年前」(ニコラス・ウェイド著)

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共通祖先がチンパンジーにそっくりだっただろう論拠(24P)

  1. ヒト・チンプ系統が分岐する前に、類人猿系統から分かれたのがゴリラ。ゴリラもチンプに似ているので、ヒト・チンプの祖先に繋がる系統もチンプ似。
  2. ヒト・チンプ系統から分岐したヒトの最初期の化石がチンパンジーと区別し難い。
  3. アフリカ西部と東部のチンプは150万年前に分岐したにも関わらず、外見も行動も酷似。150万年殆ど変化の無かった西部と東部のチンプは、更にヒトとの分岐の時点に遡って、共通祖先の姿をとどめているかも知れない。

ヒトに繋がる類人猿の分岐年代(52P)

遺伝子の系統樹は、1つの枝の年代が化石から特定できれば、一層確実になる。

  1. 化石の記録では、オランウータンが他の類人猿から分かれたのは1200万年-1600万年前。これがヒト・チンパンジー系統の分岐点の年代になる。
  2. ゴリラは、チンプとヒトの分岐の200万年ほど前、730万年前に分岐
  3. チンパジー系統とヒトの分岐は460万-620万年前。

※ 但しこの辺はサヘラントロプス・チャデンシスの推定年代と若干の矛盾が有る。

 

    

ヒト分岐の推定理由(29P)

  1. 地球規模での気候寒冷化―1000万-500万年前、特に650万-500万年前は特に過酷。
  2. 水は大量の氷河に閉じ込められ、海水面の低下。地中海の干上がり、アフリカの乾燥化。
  3. 寒くて乾燥した気候により、赤道付近の森林が縮小。林地の出現。まばらな植生。
  4. 森林内での縄張りを死守する種と、追われて地上に降りた種。

※ しかしこの後、直立2足歩行の契機として挙げている「省エネ-効率説」は納得しがたい。

脳容量の推移(30P)

  1. チンパンジー―400cc
  2. サヘラントロプス
  3. アウストラロ・ピテクス―400-500cc
  4. ホモ・ハビリス―600-800cc
  5. ホモ・エルガスター―800cc
  6. ホモ・ネアンデルターレンシス―1400cc強
  7. 現生人類―1400cc

著者 註(52P)

  1. 脳容量は身体の大きさや寒気な気候に生活していることなどにも影響されてしまうので、大雑把な目安になる。例えば現生人類の中で最大の脳容量はイヌイット族。
  2. 人類での最大はネアンデルタール人。
  3. その為、古人類学者は身体の体積と脳容量の関係が分かるEQ(大脳化指数)と言う別の算定基準を利用。それによると、
  4. チンパンジーは2、アウストラロピテクス属は2.5、ホモ・ハビリスは3.1、ホモ・エルガスターは3.3、現生人類は5.8。

ヒトが体毛を失った時期(36P)

考古学者の意見では、170万年前のホモ・エルガスターの時期
※ アクア説と乖離、どちらが真?

石器文化の変遷(42P)

  1. オルドワン石器(250万-170万年前)
  2. アシュール文化(170万-25万年前)
    殆ど形に変化なし。
    南アフリカのケープタウンからイギリスのウェールズのカーディフまで見られる。(ロバート・フォーリー指摘)
  3. アフリカの「中期石器時代」(25万-5万年前)―― ホモ・エルガスター→ホモ・サピエンス
    ヨーロッパの「中部旧石器時代」や「ムスティエ文化」と呼ぶ。―― ネアンデルタール人
    ※ 二つの石器は良く似ているし、前の時代のアシュール文化の石器と殆ど変らない。主な違いはアシュール文化に特有の握斧が無いこと。握斧が無くても、ネアンデルタール人は小さめの石を木製の取ってに据え付ける方法を身に着けていたようだ。
  4. ネアンデルタール人独自の「シャテルペロン文化」(4万年前)しかし例外?。ムスティエ石器の使用が続く。
  5. アフリカの「後期石器時代」(4万5000年前から)―― 行動の現代化
  6. ヨーロッパの「上部旧石器時代」(4万5千年前から)―― 行動の現代化を成し遂げた新人
    特有の形の石器。骨、象牙での道具。歯、貝殻に穴を開けた装飾品。水鳥の翼の骨からフルート。飛び道具。など。
    ○オーリニャック文化(4万5000年-2万8000年前)フランス、イタリア、ヨーロッパ東部の大部分、レバントの一地方。
    ○グラベット文化(2万8000年-2万1000年前)ロシア、イタリアの地方、フランス、スペイン
    ○ソリュートレ文化(2万1000年-1万6500年前)フランス、スペイン。
    ○マドレーヌ文化(1万8000年-1万1000年)フランス、ドイツ-ラスコー、アルタミラ
  7. ※ アフリカの後期石器時代とヨーロッパの上部旧石器時代は同時代だが、歴史的な理由から2つの大陸では別の呼称となっている。

    

 

4つの遺伝的変異(47P)

  1. 直立
  2. ホモ・ハビリスの―― 石器と脳増大
  3. ホモ・エルガスター―― オスとメスの性的2型
  4. 行動的現生人類

魚を取った形跡―― アフリカでは2万5000年前まで全く確認されず。

動物の言語(54P)

ゲラダヒヒの鳴き声―22種。ゴリラ―30種のジェスチャー。サバンナモンキー―最も研究が進んでいる(ワシ、ヒョウ、ヘビを鳴き声で区分―学習の結果)

「FOXP2」遺伝子―言語に関わる遺伝子

  1. ヒトで変化した遺伝子。ヒト系統で出現した能力と関係?
  2. 「KE家系(ロンドン)」で発見。ジェーン・ハースト(英)1990年報告。3世代37名、うち15名重度の言語障害。

出アフリカ

  1. 現生人類の出アフリカは1回だけ
  2. 150人程度?

定住、平等社会から階層社会へ

  1. 1万1500年前頃氷河明け、(完新世)
  2. 定住―土地に拘束、被攻撃、害虫、病気の蔓延―革命的
  3. 定住→貯蔵→私有財産→階層

最近の年代測定法の改善で、定住のプロセス判明

  1. 最初に定住→農耕が次に続く
  2. 定住が本格的な生活様式になるのは、上部旧石器時代末―その証拠、ナトゥフ文化の定住コミュニティ。?イスラエル、ヨルダン、シリア(1万5000年-1万1500年前)。
  3. 野生のエンマーコムギ、大麦
  4. 気候が急に寒くなった、ヤンガー・ドリアス期のころから栽培始まる。
  5. 埋葬に見る階層性
  6. その後、寒さから移動が多く、埋葬法も簡素に平等的になった。

ホモ・サピエンスの逆説―行動の現代化(5万年前)と文明との、4万5000年の時間的ギャップ

  1. 社会行動に適応するに時間が掛った。攻撃性の薄まりなど
  2. 定住の前に起こった変化―頭骨の華奢化―社交性の時期
  3. 近東で編み出した、農耕(近東では農耕前に定住)?農耕は定住化社会の一部
  4. 野生の中で最初に栽培化した種はアインコルン(1万500年前頃)
  5. 家畜化―犬に続いて羊とヤギ(1万-9500年前頃)

チンプとヒトの共通性

  1. 父系コミュニティ
  2. オスの攻撃的縄張り争い

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このページは、雄が2015年11月 5日 12:54に書いたブログ記事です。

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