2012/3/6 新聞赤旗
ヒトより多様性大きい
アフリカの熱帯雨林生息
アフリカ大陸の熱帯雨林だけに生息しているチンパンジーのゲノム(全遺伝情報)の多様性が、世界中に住む人のゲノムの多様性より大きいことが分かった ―― 。
イギリスなどの国際研究グループが米科学誌『プロス・ジェネティックス』(2日付)に発表しました。
チンパンジーは、アフリカ大陸赤道付近の東部、中部、西部とカメルーン周辺に生息地があり、4つのグループに分かれています。
研究グループは、54頭のチンパンジーについて、ゲノムの818ヶ所のDNA塩基配列を解析しました。その結果、チンパンジーの間のゲノムの違いは非常に大きく、生息地が川で隔てられているだけのグループ同士でも、ゲノムの差は、別の大陸に住むヒト同士の差より大きいことが分かりました。
カメルーンのグループは他のグループとの間のゲノムの違いが特に大きいことが分かりました。
以前の研究では、カメルーンのグループは遺伝的に西部のグループに近いとされていましたが、むしろ中部のグループに近いことが分かりました。
研究グループは、ヒトは10万年?5万年前にアフリカを出た少数のグループの子孫なのでゲノムの多様性が小さく、チンパンジーは数十万年に渡ってグループ間での交配が少なかった結果、ゲノムの多様性が大きくなったと推測しています。
チンパンジーは生息地の減少、狩猟、感染症などによる絶滅の危機に直面しています。
研究グループは、チンパンジーの四つのグループ間でゲノムの多様性が大きいなら、それぞれのグループを保全できる対策をとることが重要だと見ています。
転載、ここまで。
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