従来の定説より早く オーストラリアへ
現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生の地であるアフリカを初めて出たのは13万年前頃で従来考えられていたより早かった―。ドイツとフランス、イタリアの研究グループが21日公表された科学誌『米科学アカデミー紀要』電子版に発表しました。
これまでは現生人類がアフリカを出たのは1回だったとされてきましたが、今回の研究は複数回だったことを示しています
現生人類はアフリカで20万年前頃誕生し、その後、アフリカを出て世界各地へ広がったとする説(アフリカ単一起源説)が有力です。これまでの研究では、アフリカを出たのは5万~7万5000年前の1回だけだったとされて来ました。
しかし最近、アフリカを出た現生人類が最初に足を踏み入れたと考えられるアラビア半島で13万年前ごろの遺跡が見つかるなどした為、もっと早かったとする説も提唱されています。
研究グループは、アフリカ、アジア、オセアニアに住んでいる現生人類の10の集団について遺伝子や頭蓋の形を比較し、これまで提唱されている説のどれと最もよく一致するか調べました。
その結果、アフリカを13万年前頃出てアラビア半島に渡って海岸沿いに進んだ人々と、5万年前頃レバント(現在のイスラエルなど)を経てユーラシア大陸の北部に進んだ人々がいたと考えるのが良いことが分かりました。13万年前頃アフリカを出た人々はオーストラリアの先住民などとなり、更に5万年前頃アフリカを出た人々と混血することでアジアの各地に住む人々が形成されたと言います。
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