科学に「なぜ」の問い

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RE バナさん

>形而上の問いには「なぜ」は有るとしても、形而下の問いには「なぜ」は無いと考えます。

 

およそ実在の現象について何らかの問題が建てられた時、それが科学の対象にならないものは無い。と思っている私には「なぜ?」であれ「どのように?」であれ、科学が答える対象だと、当然思っています。

 

    

 

しかし日常的にいつも「なぜ」と「どのように」を区別しながら、科学している訳ではないし、その違いで結果が変わったり、それに足を取られて先に進めなかったり、と言うことは、現実には多分無いと思うので、特に拘ってはいません。

私は地質学の知識は無いし、従って関心も殆ど無いのですが、バナさんが例えば地層を見て、何か変わったことが有れば「なぜ?」「どうして?」「どのようにして?」と、多分思われると私は想像するので、まあその辺、言葉のアヤ的なことなのかと。
ですから、バナさんがそう思うと言うなら、それで良いんじゃないですか。

でも名指しで問題を提起されましたので、少し述べてみます。

>では 、問いますが、神は「なぜ」存在するかと言う問いかけは有っても、「どのようにして 」存在するかとの問いは無いでしょう。

神は実在していないと思っている私は、神そのものを自然科学の対象にして、位置や運動量、質量、素材などについて解明することは出来ないと考えています。つまり「なぜ?」にしろ「どのように?」にしろ、「存在するかとの問い」は成り立ちません。
それは「神」の実在性に関わってのことで、バナさんの問題意識、「なぜ?」や「どうして?」に関係してのことでは有りません。

しかし「神」と言う観念が、人間の意識に存在していることは実在の現象です。
「なぜ」そう意識するのか?、その物質的背景、歴史的経過、意識の内容など、社会科学、或いは心理学、歴史学など、或いはもっと広く哲学など、人文科学の対象にはなると思っています。

 

>りんごは「なぜ」落ちるか

万有引力の作用で良いと思います。或いは重力。地球とリンゴの質量による空間の曲がり、と言った方が正確か。
ここでも「なぜ」質量が有るか、とか重力とはなんだ、とかの問題になると、ヒッグス粒子だのグラビトンだの、未だ解明されていないことがいっぱい出てきますけど。

    

 

>他の例で言いましょう。人間は「なぜ」直立二歩行するか、と問えば骨格が二歩行に適しているように出来ている、との答えが出ますか?出てくる答えはせいぜい、二歩行で歩きたいからという程度でしょう。

この点は全くバナさんとは見解を異にします。
歩きたいと思って歩きだした訳では有りません。直立二足歩行に限らず、進化は目的意識的には始まりませんから。

>科学に「なぜ」の問いはあり得ません。一つ雄さんに質問します。
「なぜ」生物は進化したのですか?

物質の自己複製能と、その際のコピーミス。及びそれをふるいにかける自然選択。
...と言うことになるんでしょうね。

ただ今のところ、最初の生物の発生のメカニズムはハッキリ分かっていないと思います。しかし未だ分からないからと言って、それが「なぜ」の対象にならないと言うことでは有りません。分からないことを「なぜ?」「どうして?」と問うのが科学なんだろうと思っていますから。

「なぜ」自己複製能を持つ物質が出来たか?
それは原始海洋での化学進化の結果でしょうし、「なぜ」その化学反応の材料が出来たかと言えば、星の中での核融合や超新星爆発による元素の合成、バラマキだったでしょう。
星の誕生は初期宇宙の、物質の僅かな揺らぎが原因だったでしょうし。

そもそもの「なぜ?」をドンドン辿ってゆけば、重力も質量も生物の進化も、最終的にはビッグバンに迄行きつくんでしょうね。
でもその先は理論化さえされていないようです。

宇宙の誕生前は時間も空間も無い状態と言うことらしく、時間が無い訳だから「その先」だの「誕生前」、或いは「状態」と言った表現そのものが成り立たないのですが、兎も角私になどそのイメージを想像することさえ出来ません。

しかしそれでも理論物理学者は多分、「なぜ?」と問いかけていると思いますよ。

繰り返しますが最初に述べたように私は、「なぜ?」と「どのように?」に、この場合殆ど拘っていません。拘らなくてはいけない局面、ってのはあるのかも知れませんが。
ですからバナさんが「科学に『なぜ』の問いはあり得ません。」と考えているのであれば、それはそれで良いんじゃないかと思っています。

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このページは、雄が2010年3月16日 13:31に書いたブログ記事です。

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