ロシア、中国での社会主義化と、日本の場合

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>それと、ごめんなさいHPを読破しようと思いましたがボリュームがあるのと、仕方ないとは言え…、

確かに半端じゃないボリュームですね。
読む方も大変でしょうが、あれをデジタルテキストに起こした私も中々大変でした。
出来ましたら「弁証法的唯物論」の項だけでも読破して下さい。多分結構「洗脳」されると思いますよ。

私は特に、ことば、概念の成立過程と認識の関係に興味を引かれました。
コンテンツで言えば、No-17、No-18辺りです。

「さ きに述べたように、『足』というような簡単な語でさえも、過去の人類がおこなってきた抽象的思考の成果を含んでいるのです。ムカデをみて足がたくさんある ことを認識する場合にも、ムカデのあのツメのような形の物を『足』と言う言葉を媒介として捉えている限り、そこには既に過去の人類が行った抽象的思考の成 果が入りこんできているのであつて、ただの感性的認識ではないのです。― No-17」
…のくだりなど、進化人類学に興味を持っている私としては、感動さえ覚えながら読んだものでした。

ところで………、

>つまり脆弱な土台に突貫で築かれた上部構造だったから崩壊したということですね。
逆に今の日本のように土台も上部構造も成熟した状態にあっては次の段階として………。

前回、No.13でも述べたことですが、資本主義の特質として巨大な生産力と、法の下に平等の民主主義の醸成を挙げることが出来ると思います。これは社会主義建設に大きな力となります。
同時に資本主義は、社会主義になった時、その建設の担い手となる、質の高い労働者階級を育て鍛え上げます。

その点で革命当時のロシアや中国に、「階級」と呼べる程の量的・質的な労働者の陣営が有ったか、と言えば否です。
おそらく大衆の大半は一方的な受身だったでしょうし、前回 No.13で述べたように、革命を指導した側は、おそらく前体制下でのエリート層だったでしょう。
つまり指導者個々の資質が社会主義建設に大きな影響を与えたでしょうし、その資質が無い時、官僚主義や独善主義、覇権主義に陥る危険性が大きかったのだと思います。

旧ソ連、文革前の中国と激しい論争をしていた当時の、日本共産党担当者(名前は覚えていませんが)の論文を思い出します。
筆者の印象として、ソ連の指導部は「傲慢」であり、中国の指導部は「愚鈍」と言う表現だったような記憶が有ります。むべなるかな、と言ったところです。

資本主義の発達した日本の場合、技術的にも知能的にも、マネジメントでも、あらゆる点で鍛え上げられた労働者階級が、圧倒的多数の量で存在します。そしてそこに民主主義が、法的にも思想的にも身に染み込んでいます。
労働者階級が革命に勝利した時、ソ連や中国の間違いを、犯したくても多分出来ないでしょう。勿論、個人の独裁など考えられないことです。

マルクスやエンゲルス、或いはレーニン、そして日本共産党等が、あたかも資本主義を敵視し、「悪の体制」と見做しているかの主張が有るのですが、それは全くの誤解です。
科学的社会主義は、資本主義の意義を十分に認めています。「資本論」は正に資本主義の根本的分析で有って、社会主義を解説したものでは有りません。
この点で「右翼」の闘士各位以上に資本主義の意義を認めているのが、多分、科学的社会主義の陣営です。

しかし同時にそれは「究極」の、「永遠不滅」の体制では無く、やはり人類の歴史の過程での1局面である、と言うのが、アダム・スミスやリカードの資本主義理解と違う点です。
その辺が正に「歴史の弁証法=史的唯物論」なのですが、おいおいに議論して行きたいものです。

同時に今、日本が当面する革命的課題は「社会主義」では有りません。「民族・民主主義革命」です。
この辺、やや社会科学の用語なので、何を言っているのか分からないかも知れません。それも、おいおいに。
特に「革命は権力の問題である」と言う、宮本顕治さんの有名なテーゼと共に。

※ 余談ですが仙石前官房長官の「自衛隊(軍隊)は、暴力機構だ」との発言も、社会科学的には何ら問題の無い理解です。
結局政策上の基本的な違いを見出せない自民党と民主党の、言葉尻だけの応酬に終わっている日本政治の貧困が見えます。
本当に深いところでの「国民的合意」とは程遠い政治が続いている訳です。

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このページは、雄が2011年1月23日 11:30に書いたブログ記事です。

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