sn30さんは私が示した「ヒト定義の第一項目は直立二足歩行」が、随分とお気に召さないようだ。
最初に申しあげておきますが、定義とか概念とか科学的カテゴリーが、実体とは別に先験的に存在しているなど、私は一度も主張していないし、そんな使い方を一度もしてはいませんよ。私はカントやベーコン信者では有りません。
定義についての難しい話はもうやめます。snさんが聞く耳を持つとは思われません。snさんが言うように「ラベル」で結構です。
しかしラベルであっても、大事なのはやはりその中身なんですよ。それはsnさんも同意して頂けると思います。
snさんは私が述べた「ヒト定義」を無意味だとして次のように、「実体」の重要性を述べておられる。
>以前,mkさんにも注意されたように,
生物の進化の実体について議論している時に,そんな辞書的な定義を持ってきても無意味です。
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10254
ではそこでsnさん(一部mkさん)が、この直立二足歩行やヒト起源についてどの程度「実体」に即した発言をされているか、少し拾ってみました。
>ひょっとすると,チンパンジーとヒトの共通祖先はすでに直立二足歩行をしていて,チンパンジーの系統で二次的に「高度な樹上適応が起こった」のかもしれません
>つまり,ヒトとチンパンジーの間においては,「直立二足歩行」の方が「原始的な形質」であり,「ブラキエーション」や「ナックルウォーク」の方が「進化的な」「派生形質」である可能性もあるということです
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10251
>(以下のカキコの中ででミケさんは,『仮に』として
「チンプも実はかつて常時直立二足歩行を獲得していたが、後に二次的に二足歩行を失っていた」 可能性を指摘していますが,前述のようにアルディの特徴はその可能性を排除していないのですよ)
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10254
※ そのmkさんの実際の書き込み
>仮に、「チンプも実はかつて常時直立二足歩行を獲得していたが、後に二次的に二足歩行を失っていた」なんてことが明らかになったらどうします?
考えもしませんでしたか?
しかし今後そういう二次的に二足歩行を失った化石人類が出てこないとも限らないんですよ?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/5329/1188178955/19
>ひょっとすると,今後研究が進み,他の形質に基づいて「アルディ」がチンパンジーの系統やゴリラの系統であるという説が提出される可能性だってあるわけです
それに対して,雄さんのように「直立二足歩行はヒトの定義だから」というのでは,反論になりませんよね
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10279
見てお分かりの通り、みごとです。
「ひょっとすると.........かもしれません」「可能性もあるということです」「『仮に』として」「なんてことが明らかになったらどうします?」「出てこないとも限らないんですよ?」「ひょっとすると.........可能性だってあるわけです」
全て「たら・れば」のオンパレード。何処に「実体」に即した議論がされているのですか。
他人には「辞書的な定義を持ってきても無意味」と言いながら、一番実体からかけ離れた空想的想定論で、「事実を固定化」しようとしているのが、snさんご自身じゃ有りませんか。
上記以外にヒトの直立二足歩行に関し、何か実体的な言及が有りましたか。
少なくとも私は、オロリンの大腿骨やサヘラントロプスの頭蓋骨の化石を例に出し、他の特徴が何も無くても、ただ一つ直立二足歩行の痕跡さえ認められれば、それは実際にヒトと認定されていると、実態に即して直立二足歩行の重要性を強調して来ました。
ラエトリの足跡化石等はその典型でしょう。残っているのは二足歩行の足跡だけです。他にはヒトを想定させる特徴は、骨だの歯だの何一つ無い。
しかし二足で歩いていた、それだけの特徴で「ヒトの足跡」と同定され、直立二足歩行の直接的な証拠として最も重要な発見の一つに数えられているのです。
鍋じゃ有るまいし、「たら・れば」の話で、これら化石ハンターの地道な実体的活動を含めた、進化人類学の学問的到達点、「ヒト定義の第一項目は直立二足歩行」が揺らぐ筈が有りません。
snさんから実体に即した事例が出て来たと思ったら、カエルのお話。
生物であれば当たり前に見られるカエルの多様性と、「ヒトの直立二足歩行」を何の脈絡も無く恣意的に結び付け、ヒトと直立二足歩行との関係を薄めようとしても、それは無理と言うものです。
以下のお話の何処に、必然的な因果関係が有ると言うのですか。
>「ヒトの定義は直立二足歩行である」というのは,「アオガエルの定義は樹上生活である」というのと同じです
>仮に,「泡巣」を形成する樹上生活種以外のアオガエル科の種が全て絶滅していたとしたら,「樹上生活」も「泡巣の形成」も「アオガエルの定義」と して「例外がない」ようにみえるでしょうが,その定義によって,過去に存在した「定義から外れる種」の存在が否定されるわけではありません
>進化の過程において,ある分類群が持つ形質を別の系統が獲得すること(収斂現象)は普通に起こることです 収斂現象がある以上「樹上生活するカエ ル」というだけでは「アオガエル科」とは言えないということですね 繰り返しになりますが,これは「直立二足歩行」も同様です
http://6609.teacup.com/natrom/bbs/10278
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