新聞赤旗、2013年10月20日(日)転載
現生人類(ホモ・サピエンス)を含むヒト(ホモ)属の源流に位置付けらる3種の人類祖先は、本当は同一の種だった―。黒海に面したグルジアで見つかった約180万年前の人類化石を詳しく調べた結果分かったと、同国やスイス、イスラエル、米国の研究グループが科学誌『サイエンス』(18日号)に発表しました。
人類が猿人から初期のヒト属である原人へ進化したのは二百数十万年前から百八十万年前ごろに掛けてのことだったと考えられています。この間には240万年前頃ホモ・ハビリスが、190万年前頃ホモ・ルドルフェンシスが、180万年前頃ホモ・エレクトスがアフリカで出現し、それぞれ別種の原人とされています。
しかし、1990年代にグルジアのドマニシでエレクトスの出現時期とほぼ同じ時代の原人の化石が見つかり、その由来について様々な議論が行われています。
研究グループは、2005年にドマニシで新たに見つかった5体の化石に注目しました。これらの化石には、脳の大きさが546ミリリットルとホモ・ハビリスの最小レベルなのに、顔が長く歯が大きくて、別々の場所で見つかっていれば異なる種に分類される程違っているものが含まれるなど多様で、ハビリスやルドルフェンシス、エレクトスの特徴が混在していました。
同様の違いが、他の種でも見られるかどうか、チンパンジー5頭と現生人類5人の変異の程度を調べました。その結果、5体の化石の変異の大きさは、チンパンジーや現生人類で見られる変異の範囲に収まっていることが分かりました。
研究グループはこの結果をもとに、ハビリス、ルドルフェンシス、はエレクトスと同一種であり、ドマニシの原人はエレクトスだと指摘しています。
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