「心の先史時代」スティーヴン・ミズン

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脳の拡大には二つの突出したところがある。一つは200万年前から150万年前のところで、これはホモ・ハビリスの登場に関係しているらしい。もう一つ、それ程目立ったものではないが50万年前から20万年前のところにある。(20ページ)

人間の行動における二つの本当に劇的な変容は、現代人類並みの脳の大きさに進化してずっとたってから生じた。その変容はホモ・サピエンス・サピエンスのみのものとされる。
第一の変容は6万年前から3万年前にかけての文化の爆発的発達で、最初の芸術、複雑な技術、宗教が現れた。
第二の変容は1万年前の農耕の登場であり、人々は始めて作物を植え、家畜を飼いならすようになった。(20ページ)

脳が要求するエネルギー
静止しているときに筋肉が必要とするエネルギーの22倍に相当する(20ページ)

考古学者-「認知考古学」
心理学者-「進化心理学」
これら二つの新しい下位部門はお互いにお互いを大いに必要としている
………統一を成し遂げるのが本書での筆者の課題だし(21ページ)

 

    

 


一種の強力なコンピュータのような汎用学習機械と見るのは間違い
「モジュール」が並んだもの(21ページ)

想像力をどう理解するか(21ページ)

ホモ・ハビリスは、石器を作ったことが確認できる最初の祖先であり、また比較的大量の肉を食べたことが確認できる最初の祖先でもある(22ページ)

ネアンデルタール人
現生人類との共通性と違いの矛盾(23ページ)

「心の進化」
6500万年前からの展望(24ページ)

本書では筆者は心の進化について、「何」、「いつ」、「なぜ」を特定するつもりである。この流れをたどるときに、芸術や宗教や科学の認知的基盤を求めることにする。
これらの基盤を明らかにしてゆくと、我々がいかに他の種の動物と共通の根を持っているかが明らかになる―我々に最も近い現存の親戚であるチンパンジーでさえ、これほど根本的に違っているというのに。
筆者はこうして、心は超自然が介在して出来たものと云う想像主義的な主張を退ける、確固とした証拠を提供する(24ページ)

過去のドラマ(25ページ)

  • コモンアンセスター(共通祖先)- 未発見(ミッシングリング)
     
  • サヘラントロプス・チャデンシス(トゥーマイ)
    700?600万年前
  • ミレニアム・アンセスター(オロリン・ツゲネンシス)
    600万年前
  • アウストラロピテクス・ラミドゥス
    450万年前
  • アウストラロピテクス・アナメンシス
    420万年前頃か?
  • アウストラロピテクス・アファレンシス
    ルーシー、ラエトリの足跡化石
    350万年前
  • アウストラロピテクス・アフリカヌス
    250万年前
     
  • ホモ・ハビリス(器用なヒト)?オルドワンの最初の担い手(アウストラロピテクス・ガルヒ、ボイセイ、ロブストゥス、からかも知れない)
    200万年前
  • ホモ・ルドルフェンシス
  • ホモ・エルガスター

     
  • ホモ・エレクトゥス
    180万年前
    東アフリカ、中国、ジャワの3か所で、殆ど同時に登場
  • ホモ・ハイデルベルゲンシス
  • ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)
  • ホモ・サピエンス・サピエンス
    解剖学的現代人
    行動学的現代人

    

 

初期人類(ネアンデルタール、解剖学的現代人)の心における多様な知能(153ページ)

  1. 初期人類が骨、角、きばを原材料として用いなかったのは何故か
  2. 初期人類が特定の目的の為の道具を作らなかったのは何故か
  3. 初期人類が複数の部品からなる道具を作らなかったのは何故か
  4. 時代や場所の違いにかかわらず、初期人類の作った石器にあまり大きな変化が見られないのは何故か

     
  5. 初期人類の住居跡がどこでも小さな集団を暗示しているのは何故か
  6. 遺跡における人工物の分布が社会的相互作用に限界が有ったことを示しているのは何故か
  7. 個人的な装飾品が無いのは何故か
  8. 初期人類が儀礼を伴う埋葬を行ったと云う証拠がないのは何故か

初期人類、最初の芸術(204ページ)

  • 3万年ないし3万5千年前、南ドイツ、ホーレンシュタイン=シュターデルの象牙製の小像
    マンモスの牙を彫って作った、獅子の頭を持つ男性像
    知られているものとしては最古の芸術品
  • 個人的な装飾品(ビーズやペンダント、動物の歯に穴を開けたものなど)3、4万年前
    南西フランス、ラ・ソケットの遺跡など(象牙のビーズ)
  • アルデシュ地方のショーべ洞窟壁画?3万年前
  • ラスコー洞くつ壁画?1万7000年前

視覚的記号(シンボル)の特徴

  1. 記号の形態は指示対象と恣意的な関係にある。このことは言語の根本的な特徴だが、視覚的な記号にも当てはまる。例えば、「2」と言う記号は何かが二つあるようには見えない。
  2. 記号は伝達の意図が有って作られている。
  3. 記号と指示対象との間には、空間/時間的に大きな隔たりが有ることが有る。だから、例えば、私は遠い昔に起こった出来事や、将来のある時点に起こるかもしれないと想像することを描いたりする。
  4. ある記号の固有の意味は、個人によって、又勿論文化によっても異なる。それは、持っている知識や経験に依存することが多い。ナチスの鉤十字を今の子供が見るのと、家族をホロコーストで失ったユダヤ人が見るのとでは、違う意味になる。実は鉤十字は古くからある記号で、メキシコやチベットと言った遠く離れた文化に見られる。
  5. 一つの記号には、居として付与されたものであれ意図なく付与されたものであれ、或る程度の幅が許容される。例えば、われわれは、それぞれの文字の姿が違う色々なヒトの筆跡を読むことが出来る。

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このページは、雄が2011年5月25日 08:53に書いたブログ記事です。

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