残堀川-2(玉川上水交差から多摩川合流)

 

残堀川下流、昭和記念公園、大滝を経て多摩川合流

今回のコースは、広大な昭和記念公園の敷地を通り(公園に入らないと川沿いを辿れない)、大滝(或いは滝口)と言う、都内中小河川随一の落差工で落とし込み、その後は立川崖線沿いにかっての根川の流路を、崖線からの湧水を集めて、そこそこの水量を維持しながら多摩川まで合流する。
大滝を境に、その上流と下流では表情が一変する。

 

地形図-1(前半)

流路が縦(南北)に長いので、二つに分けました。クリック、拡大表示でご覧ください。

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地形図-2(後半)

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撮影Map

クリックするとGooglemapと連動して表示されます。 (2018年、突然Googlemapでの表示が不調となり、解決の方法も有りません。しかしmap上の位置関係は判別できますので、引き続きそのまま表示します)。

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玉川上水交差

玉川上水との交差は、或いは「残堀川-1」の最後を参照してください。
写真は残堀川を伏せ越しで、サイフォンの原理でくぐり抜けて来た玉川上水の湧き出し口。鯉が群れている。

残堀川は写真上部を横に、玉川上水と直角に交差して右(北)から左に通っている(普段水はない)。

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歩道に掛かるすずかけ橋から、前方上宿橋を撮影。二つの橋の間の残堀川の下を、右から左に玉川上水がくぐっている。

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田堀橋

玉川上水交差から下流方向、2つ目の橋。桜並木で樹影が濃くなる。

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桜並木がしばらく続く

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昭和記念公園

玉川上水交差から1.3Kmほど、両岸に雑木林が広がり、昭和記念公園のエリアに入る。

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行き止まり

残堀川沿いの緑道はここで行き止まり。このすぐ先が、2枚下の写真に繋がる訳だが、左わきの「玉川上水口」から昭和記念公園に入らないと川を辿ることはできない。

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昭和記念公園玉川上水口

開門が9時半、この時点で8時25分。未だ1時間余りもある。
昭和記念公園に開園・閉園の時間制限と入園料が有るとは考えなかった。時間つぶしも兼ねて大きく西側に迂回して「昭島口」から入園。

入園料は一般で410円(シルバー料金、210円)だが、この日「春の都市緑化推進運動」とかで無料だった。

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公園内の残堀川

昭島口から入園、公園内の残堀川を逆にさかのぼり、公園内での最上部から上流側を撮影。右側ブッシュのすぐ裏が「玉川上水口」。
ここから下流に向かって残堀川探索再スタート。

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公園内を流れる残堀川

昭和記念公園は広大だし、一般入園者は残堀川などにあまり興味ないのだろう。踏み分け道程度の通り道があるだけ。

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陸軍航空工廠跡

右(西)側対岸も広い敷地が広がっていた。かっての陸軍航空工廠が有ったところだそうだ。
今、再開発事業による「国際法務総合センター」の工事が進行中だった。

 

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国際法務総合センターと、手前、遊水地の工事中

普段は全く水のない残堀川も、一旦豪雨があればすぐ増水するのだろう。その為の遊水地。残堀川反対側にも公園内に遊水地が建設中だった。

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陸軍航空工廠碑

西に迂回して歩いていた時に見つけた碑。上の写真の向こう側になる。

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西側から見た、建設中の国際法務総合センター

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柴崎分水

再び昭和記念公園に戻って。
玉川上水口から200メートル程下流側、残堀川に並行して左側に水路が現れて公園を出るまで続く。
水路には金属製の溝蓋がされているが、中にはきれいな水が結構な量で流れている。これは柴崎分水。柴崎分水は玉川上水松中橋下流で分水され,この昭和記念公園敷地を経由し都道256に掛かる橋の下で根川に合流している。玉川上水の分水で現役として通水がみられる貴重な一本。
野火止用水、千川上水などが、小平監視所で多摩川の原水をすべて抜き取られた後の、高度処理再生水をその水源としていることと比べ、柴崎分水は小平監視所より上流の松中橋で分水されている、正真正銘の多摩川原水。

公園内では一部開渠として姿を見せるが大半はこのように溝蓋がされている。折角の公園内なのに勿体なくないか?

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残堀川の左側、或いは右側にも広大な昭和記念公園が広がっているのだが、今回は残堀川沿線以外殆ど見ることもなかった。
公園内をこんなトロッコ列車風な乗り物が通っていた。

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広大な公園内の残堀川

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緩傾斜部

このエリアは河川敷の中に入ることが出来るようだ。…が、水もなし、見どころ豊富な広い公園の中で、わざわざ入る人も居なそうで、草原になっていた。

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普段水のない残堀川も一旦豪雨になると10分間で1mもの水位上昇が有るとのこと。周囲をアスファルトで固められている都市河川の特徴だろう。

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柴崎分水

一部このように蓋なしの姿が見られる。流れているのは多摩川の水。やはり水辺は気持ちがいい。

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公園の終わりが近づいてきた。

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昭和記念公園を出て

西立川口から出て都道153を残堀川まで歩き、153から公園(上流)側を撮影。

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下流側

都道153から残堀川下流側。
見た通りフェンスがあって川沿いに歩けない。迂回する。
前方鉄橋は青梅線。

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富士塚橋

この道も都道153。細いながらも残堀川の脇に遊歩道がある。なまじ細いほうが味がある。

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残堀川は三方コンクリート護岸になり、更に味気ない。

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立川崖線と大滝(滝口)

前方の道路は奥多摩街道。この道路と並行してその向こうに立川崖線が横たわる。立川崖線を境に、武蔵野台地の立川面と、低地である沖積面にハッキリ分かれる。落差は10メートル以上になる。
残堀川はこの崖を、大滝或いは滝口と呼ばれる落差工で垂直に落ちる。

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大滝(滝口)

大滝は幅24メートル、高低差10メートルの、都内中小河川の落差工としては最大の構造物で、残堀川洪水対策として築かれたらしい。

 

根川への接続と洪水対策

実は大滝から下の下流部分は、もともと「根川」の流路だった部分。
根川は立川崖線からの湧水を集めて、崖線沿いに流れて多摩川に注ぐ小河川だったが、残堀川改修の際、下流部分をこの根川に接続したのだという。

北から南に流れて来た残堀川が、ほぼ東西に横たわる立川崖線に沿って流れていた根川に繋がった訳だから、河道もここで北→南から西→東に直角に折れてしまった。
残堀川洪水時の水を大滝によって垂直に落とし、下の滝つぼで受けて、水のエネルギーを対岸に向かわせないようにしたものであろう。

洪水対策としては功を奏したらしいが、かって家庭雑排水などの流入で残堀川の水質汚濁が激しかった時期には、落差口直下で洗剤の泡が大量に発生するなど、周辺地域の環境悪化の要因にもなったらしい。

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立川崖線を降りて、沖積面に出る

この先立ち入り禁止で大滝の全貌は上からは見ることが出来ない。迂回して立川崖線の下に降りてみる。

湧水路

冒頭の地形図を見て頂ければ分かるように、この辺、立川崖線からの湧水(ハケの水)と思われる水路が何本か見られる。かっての根川を作っていた流れだろうが、残堀川に変わった今でもその水路からの流入が見られる。その流入がこの先、残堀川を「生きた川」に変えている。

写真下の水路もその1本。

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大滝を下から望む

大滝直下には近づけず、下からも大滝の全貌は見ることが出来ない。写真中央、人のいる辺りから大滝を遠望するしかない。

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大滝下の風景

写真奥の突き当り、右から落ち込んだ水が直角に向きを変えて、手前に流れてくる。しかしそれは大雨の時の話で普段ここまで流れはないようだ。

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湧水の注ぎ込み

上掲写真手前で、左脇の水路から水が流れ込んでいる。3枚上の写真に載っている水路からの放水。
これによって、上流と下流の風景が一変する。川が生きてきて、鯉も泳いでいる。

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下流方向

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滝下橋(大滝下流、最初の橋)から大滝を振り返る。
右側の台地上と左側の沖積面をつなぐ長い陸橋が、写真最奥の林の手前に見える。水は垂直に落とすことはできるが自動車はそういう訳に行かず傾斜で繋ぐしかない。

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立川崖線の根元に沿って流れる残堀川

山中坂

お堂脇の銘板には「山中坂悲歌」の歌碑とその下に「碑文」が彫られている。
碑文は以下の通り。

碑文

太平洋戦争の末期、立川は1945年(昭和 20年)2月16日から8月2日までの間、少なくとも13回の爆撃を受け、330余名が犠牲となった。
ここ山中坂にあった横穴式防空壕は、4月4日未明、B29が投下した爆弾が直撃し、中に避難していた子どもたち32名を含む42名が死亡した。
平和を願い、思いを同じくする私たちの拠出金と、土地所有者の株式会社伊藤商店のご協力によってこの歌碑を建立し、戦争の悲劇を再び起こさないことを誓います。

1995年4月2日

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ここにも水路からの注ぎ込みが

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結構豊富な水量

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水さえあれば生き物も

鯉などの魚、亀、カモなど

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立川崖線と残堀川

左側は立川崖線の高い崖。
写真中央部から、桜並木が始まる

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旧根川(残堀川)跡と多摩川へのショートカット改修

下携写真左側、土手道の脇から左側に「根川緑道」が始まる(2枚下の写真)。今せせらぎと緑道になっているこのルートはかっての根川、および付け替え後の残堀川の河道だった(その痕跡が1枚下の写真)。
根川に繋がれた後も依然として豪雨時の氾濫が続いた残堀川を、写真のこの地点から多摩川合流までショートカットする流路変更の河川改修が行われ、昭和43年から同47年の工事で下に見られるように現在の残堀川となる。

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旧根川流路

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根川緑道公園

残堀川改修によって切り離された為、根川(残堀川)としては残っていないが下水道が敷設されているそうだ。地上部はせせらぎと緑道の公園となっている。
都内にはこういった再生水利用のせせらぎの道が数多くあるが、その中でも屈指のものだろう(根川緑道公園のより詳細はこちらを参照してください)。

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残堀川に戻って

写真の道は新奥多摩街道。
多摩川合流までのショートカットとしての、新しい残堀川が続く。多摩川合流まではもう近い。前方のアパート風建物は既に多摩川の対岸。

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都道149の橋と多摩モノレールが見えてきた

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多摩川

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残堀川、多摩川合流

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