2022/2 飛水峡ロックガーデン
飛水峡ー飛騨川に沿って続く、チャートの景観
列島形成の成り立ち
飛水峡は岐阜県加茂群七宗町から加茂郡白川町までの全長約12Kmにわたる峡谷。
この景観を形作るのは「チャート(chert、角岩)」と呼ばれる、古くて硬い岩の地層。海の中で出来た堆積岩と言う点では石灰岩と共通だが、石灰岩が浅い海で主にサンゴなどの堆積で出来た炭酸カルシウムを主成分としているのと比較して、チャートは遥か沖合の深海で、主に放散虫の堆積によるシリカを主成分とする堆積岩。深海の物凄い水圧の元1ミリ堆積するのに1000年とかのオーダーを必要とするらしく、極めて硬い。堆積の過程で泥や砂の層を挟み、層状の地層を形成することが多い。
このチャートを含む深海の地層がプレート運動に乗って、今岐阜のこの地で見られ、同時にこれと同じ地層が朝鮮半島やロシアのハバロフスクなどで見られることから、ユーラシア大陸形成の歴史やその縁が引きちぎられて日本列島が出来たと言う、壮大な地質学的シナリオの証明に、この飛水峡が一役買っている。事実この場所(飛水峡ロックガーデン)の近くで列島最古の石が発見されているし、最寄りの「道の駅ロックガーデンひちそう」にはその博物館も併設されている。
飛騨川バス事故
硬いチャートで固められた川筋は外側に侵食され難く、流れは専ら川の底を侵食することとなり、自然この飛水峡に見られるように細くて深い谷を抉ることになる。写真で見るように普段はこの谷の底を僅かに流れる程度だが、川幅が狭ければ狭いほど一旦大雨が降った時の水嵩増は顕著で、事実この水面から10数メートルも上がったロックガーデンの上部には、濁流渦巻く流れが作った甌穴(ポットホール)が幾つも並んでいる。又、写真にも掲載しているように、更に1、2メートルも上がった木の枝に、流れ着いた流木や枝などが引っ掛かっていて、増水時のすさまじさを想像させる。
飛騨川左側には高山本線、反対の右側には国道41号線が走っているが、大雨の時にはこの41号線の直ぐ下まで増水することも有るらしい。
1968年(昭和43年)8月18日未明、この場所の少し上流で起きた、日本のバス事故史上最悪、世界のバス事故史上でも最大級の事故は、山側からの土砂崩れによって飛騨川に押し出されたもので、飛騨川の増水が直接の原因ではないが、乗客107人中104人が死亡したそうだ。
41号線脇の事故現場には「天心白菊の塔」と言う慰霊碑が立っている。
なお、飛水峡については、こちらも。
付知峡 Photo Gallery
下の写真をクリックして下さい。Photo album型式で写真が表示されます。「次へ」「前へ」で表示写真を切り替えて下さい。
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://y-ok.com/mt-tb.cgi/862
コメントする