残堀川-1(源流から玉川上水交差)

 

付け替え、流路変更を重ね、そして………、堀だけが残った

 

残堀川は狭山丘陵西端付近の狭山池を源とし、立川市芝崎町で多摩川に合流する一級河川。
都市河川の常として流路変更はよく見られるが、残堀川もその例にもれず、いや、他と比較しても頻繁な付け替え工事・流路変更がされたようだ。
元々は矢川に注ぐ川だったが、玉川上水開通後、それに合流・助水したり交差によって上水から切り離されたり、下流部では根川に注いでいたなどの変遷を重ねたようだ。

そもそも「残堀川」の呼び方が定着したのは何時の事なのだろう? これも度重なる河川改修と関係が有りそうだ。

 

河川改修に伴う、瀬切れ現象

残堀川とは字面が示す通り、降雨時とその直後を除いて水流が途絶える「瀬切れ」によって、「堀だけが残る川」になってしまったもの。
瀬切れの原因としては、他の河川にも見られる一般的な要因として、水源(狭山丘陵からの流出水)の減少、都市化に伴う雨水浸透の減少、下水道の普及による河川への排水減少などが考えられるが、それとは違う残堀川独自の原因として、度重なる河川改修によって、河床が関東ローム層を突き破り下の歴層まで掘り下げられた為の、所謂「水喰らい土」現象によると考えられる。つまりは改修工事のずさんさが瀬切れの原因だと言えそう。
そう考えられる根拠として、瀬切れ現象が比較的短期の一定時期を境に起きたこと。その時期に、他の河川にも見られる上記一般的な水量減少の要因が特に顕著だった訳でないこと、等など。

2007年6月、東京都は不透水層の設置等の瀬切れ対策を含んだ河川整備計画を発表した、とのこと。

 

撮影Map

クリックするとGooglemapと連動して表示されます。 (2018年、突然Googlemapでの表示が不調となり、解決の方法も有りません。しかしmap上の位置関係は判別できますので、引き続きそのまま表示します)。

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今回狭山池から玉川上水交差までの間は、武蔵野台地の平坦な立川面を大きな高低差もなく、しかも「残堀川」の名のとおり水の流れも無く、あまり見どころもないまま比較的単調なコースが続く。

 

源流部

残堀川の源流は東京都西多摩郡瑞穂町の「狭山池」とされている。この池に湧水が出ているかどうか、承知していないのだが、狭山丘陵からの何本もの流水路が狭山池や残堀川に注ぎ込んでいて、「源流」と言うなら、それら全体を含めて考えるのが正解なのだろう。

 

狭山池の上流部、丸池からの流れ

源流部とされる狭山池の北東に水路がある。位置的には狭山池の上流部。但し今回水の流れは全く確認できなかった。
写真は上流方向。水路は更にこの先から続いているようだが、水の流れも無かったし、「蛇に注意」の看板なども有り、兎も角ここが最上流部と言うことにして、ここから下ることとする。

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上の写真と同じ位置からの、下流方向。
この先に「丸池」がある。

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丸池

水の動きは全くなし。

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なにやら水路脇に水路関連風な施設が。

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丸池からの水路

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水の仙人が住む道

近くに「水の仙人が住む道」の看板が有った。確かに雰囲気は悪くないのだが水の動きが全くない。このままだと夏などは蚊の発生なども有るんじゃないか。

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狭山丘陵からの流水路

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同じくこれも流水路

いずれも流水はなし。

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狭山池

前方「調練橋」。どう言ういわれが有っての橋名か?
この橋の先が狭山池。

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水に付き物の「厳島神社」

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水の出口

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残堀川スタート

狭山池から出て、残堀川としてのスタート。

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下流側からの狭山池方向

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道路をくぐって

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狭山丘陵からの流水路

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5月です

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狭山丘陵からの流水路

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ここにも狭山丘陵からの流水路

遠方に狭山丘陵。

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川床には多少の造形が有るが、全体として単調な風景

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鵜がいたが、そのエサとなる魚が殆ど見えない。その点で他の河川、例えば野川などと異なる。
おそらく瀬切れによって水の流れが途絶え、水が有っても低い所だけに孤立する為、魚の繁殖や定着が難しいのではないか。

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新青梅街道

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親水エリア的な場所

殆ど流れは無いし、水に親しんでいる人もいなかった。

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羽村山口軽便鉄道

ここで羽村山口軽便鉄道跡の緑道が残堀川と交差する。

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狭山丘陵からの流水路

名前は分からないが、結構大きな水路。

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瀬切れ

こんな風に、完全に水流は分断。低地にだけ辛くも水が残っているだけ。これでは魚も繁殖・定着が難しいだろう。
ただ都市河川の常で、大雨が降れば一気に水が流れ込む。その為の広い護岸が必要だし、一応一級河川になっているのもその為だろう。

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新残堀橋

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メタセコイヤのある小公園

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旧日産村山工場

伊奈平橋で多摩大橋通りに出る。前方のわらべや工場の右側(下流方向)、広大な旧日産村山工場跡が広がり、その脇を多摩大橋通りに沿って1.5キロ近く直線になる。ここから下流域は河道付替工事による人工の流路となる。

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多摩大橋通りと旧日産村山工場跡

写真左側に広大な旧日産村山工場跡が広がる。現在この敷地は宗教法人真如苑の所有になっているらしい。空き地のまま特に利用されている様相もなく放置状態。
実は地図を見ただけでは、小さく「真如苑グラウンド」の表記が脇に有るだけでここが何であるかハッキリ分からない。固定資産税だけでも相当なものだと思われるが、若しかして宗教法人は無税?

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地図ではハッキリしないこの場所を、Googlearthによる航空写真で。

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真如苑敷地に沿って真っ直ぐな道と川筋が続く

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何年も活用されているとは思われない草原が広がる。

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敷地に沿って左にカーブ

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西武拝島線

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旧日産村山工場敷地(真如苑)からの水路がここで合流

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西武拝島線をくぐって

完全な空堀

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玉川上水と交差

前方上水橋の脇で玉川上水と直交、玉川上水は残堀川の下を写真右から左へ、「伏せ越し」でくぐって交差する。直交する残堀川の流れと合流することなく、サイフォンの原理を利用し、残堀川の下をくぐって(伏せ越し)玉川上水の水を下流に流している。

残堀川の流路は何回も変遷を重ね、現在の天王橋付近で玉川上水に繋ぎ、その助水とした時期もあったようだ。 明治に入り残堀川の水が汚れて来て玉川上水への助水は中止され、交差によって玉川上水の水とは切り離される。、その時は今とは逆に玉川上水の下をくぐらせて最終的に根川に合流させていた。
さらにその後残堀川の洪水対策として、比較的水量を制御しやすい玉川上水を伏せ越しとし残堀川は平らな川床の現在の姿になった。今の姿は1963年(昭和38年)の施工によるもの。

写真前方橋の下、水たまりの辺りを右から左に玉川上水がくぐって抜けている。

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鈴掛橋の左脇を玉川上水が直交

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残堀川下流方向

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玉川上水上流側

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玉川上水下流側

残堀川をくぐりサイフォンの原理で湧き出し、左側に流れる玉川上水。

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振り返って、残堀川上流方向

前方、西武拝島線。

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