渋谷川-6(宇田川支流、河骨川)

 

コウホネの花咲く「春の小川」

河骨川は「コウホネガワ」と読む。変わった名前だが、水源地の一つでもある山内侯爵邸(代々木4丁目26、現在はマンション)の湧水池に、四国から移し替えたコウホネの花が咲いていたことに由来するのだそうだ。

又河骨川は唱歌「春の小川」のモデルとなった川。のどかな田舎のイメージを彷彿させる春の小川が、実は渋谷に有ったという意外性で話題に上ることも多いようだ。

 

   地形図

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撮影Map

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「春の小川」と作詞者、住居跡

唱歌「春の小川」は1912年(大正元年)に発表された。
作詞者は国文学者高野辰之。その住居(跡)が河骨川源流に近い代々木3丁目に残っている。表札も「高野」で今も門柱にかかっている。

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河骨川、二つの源流を探して

河骨川の源流は二つ。一つは代々木4丁目に有った旧土佐藩山内侯爵邸(現在マンション)の湧水池。侯爵邸の一帯は戦前まで渋谷区に最期まで残っていた水田だったと言う。
もう一つは初台1丁目30から43番地に掛けての窪地(どちらも地形図参照のこと)。

しかし今どちらも地上からその湧水の痕跡を見ることは出来ず、都会の住宅地に埋没していてこれと言った指標もなく、特定が難しいようだ。
結局目に見えてハッキリ痕跡が確認できる場所から、河骨川の源流を遡るしか方法が無い。その目に見える痕跡が「切り通し坂」と、その坂をを降り切った谷底に有った。

切り通し坂

高野邸から西参道を挟んで東側に進むと立正寺が有り、その脇に「切り通し坂」の案内標識が建っている。この道の先が岸田劉生の絵に描かれた切り通し坂。河骨川はこの坂を降り切った谷に沿って流れている。勿論現在は暗渠。

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写真に「切通の坂」碑。
手前の道を左に行けば、そのまま切通の坂。

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切り通し坂

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下から見た切り通し坂

目の高さの関係と写真のせいだろう、下から見ると大した坂にも見えない。道を教えてくれた地元のオバサンも「岸田劉生の絵程の坂じゃないけど」と言っていた。

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岸田劉生『切通しの写生(道路と土手と塀)』

こちらは迫力が有る。
如何にも関東ローム層まんま、といった風景だ。今アスファルトで舗装された道ではあまり感じる必要が無いが、雨が降れば泥田状態になったことだろう。雨の中、この坂を登るのは難しそう。

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二つの湧水、合流点

切り通し坂を降り切った谷底に、道に交差する形で河骨川の暗渠道が通っている。写真は北側、甲州街道方向。道の角に小さな公園(代々木第四公園)が有る。
この奥で、二つの源流が左右から合流、現在暗渠になっている写真中央をこちら側に流れていたと思われる。

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源流二つの合流点

この先は崖になっていて、ここで谷がT字に左右に分かれる。右側から山内邸からの湧水、左側から初台1丁目からの湧水がここで合流していたのだろう。

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初台(上の写真の左側)の水源を探して

上の写真の合流地点を西(左)に曲がってしばらく行くと、山手通りにぶつかるこの地点で行き止まり。

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柵の中

立ち入ることは出来なかったが、如何にも谷地と言う感じ。間違いなくここにかっての河骨川の流れが有ったのだろう。
直ぐ先の付き当たりは山手通りの土手。

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山手通り上から

上の写真の場所を、山手通りから。間違いなくかっての流れの痕跡。この谷地が源流部なのか、或いは山手通りを超えた先から流れが続いていたのかは不明。

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山手通りを超えて西側

不明ながらも、山手通りを超えた反対側(西側)にも行ってみた。やはり谷になっている。

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若しか?の源流部

坂を降り切った谷にそれらしき痕跡。
ここが谷底に当たる訳で、水が流れていたとすればここしか考えられない。雰囲気もそれらしい。
おそらくこの先に湧水池があり、ここを流れて来たのだろう。側溝がそれを語っている。しかしここから先は辿れそうもない。

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河骨川一つの源流、初台の湧水から離れて、もう一つの源流に向かう。 

旧山内侯爵邸の水源を探して

もう一つの水源、旧山内侯爵邸を目指す。
合流地点のT字交差点を東側に向かう。水の流れの雰囲気は全く感じられない。

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そのまま行くと道は左右とも登り勾配になる。旧山内侯爵邸は左側の道を行ったところだと言うのだが。

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電柱に「春の小川」看板

間違いなく、ここが河骨川の水路だったようだ。右側に刀剣博物館が見える。

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角を曲がると右側に刀剣博物館

番地から言うと道路を挟んで左側のマンションが、河骨川源流となった池を邸内に持つ山内侯爵邸跡らしい。
途中には「春の小川」の標識が目に付くのだが、当のマンションにも近辺にも水源の標識も案内板もない。住民のプライバシーに配慮してのことか?

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河骨川源流の一つ

このマンションが、かっての山内侯爵邸の敷地跡らしい。要するにここが河骨川源流の一つ。
しかし今、全くその気配は無い。

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一旦合流地点に戻って

二つの源流がここで合流、真ん中の道を、かっては地表部の小川で、今は暗渠で写真後ろに流れる。

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交差する切り通し坂の道

暗渠は切通の坂を下りた道と交差、そのまま真っ直ぐ進む。右側は代々木第四公園

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ところどころに「春の小川」の表示。

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小田急線にぶつかる

ここで谷底の暗渠道は行きどまりとなり、一時暗渠の痕跡を見失う。

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迂回して小田急線沿いの道に出る

おそらくこの通りの下に暗渠が通っていると思うのだが。

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小田急線を超える河骨川暗渠

前方小田急線。ここで小田急線を超えて反対側に行く。
写真では分からないが、真正面の電柱に「春の小川」の看板。間違いなくこの道が河骨川暗渠であることを確認。

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踏切を渡って

小田急線の踏切を渡ると、ハッキリ暗渠だと分かる小路が小田急線に沿って代々木八幡駅方向に続いていた。

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小田急線に沿って続く暗渠道

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時に住宅地を縫って

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「春の小川」歌碑

小田急の線路が代々木公園に隣接して脇を通るようになる地点で、暗渠道に歌碑が建っていた。歌碑は代々木公園側に向かって立っている。

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暗渠道に戻って

かっての護岸壁と思われる痕跡が残る。排水管も飛び出している。

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代々木八幡の駅が近づいて来た

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商店、住宅を縫って曲がりくねりながら暗渠道が続く

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宇田川への合流

前方、宇田川の遊歩道

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宇田川遊歩道側から見る河骨川合流

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宇田川暗渠

続きはこちら

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