神田川-4(高田馬場から江戸川橋)

 

神田川と神田上水-4

 

地形図

クリック、拡大表示でご覧ください。

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撮影Map

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新高橋(前回、ここまで)

 

前方、高塚橋、その先『神田川』で歌われた場所に架かる戸田平橋

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前方、源水橋。背後、戸田平橋

この戸田平橋付近が、フォークソング『神田川』の舞台として歌われたところらしい。学生時代この辺に下宿していた喜多条忠が自身の体験を下敷きに作詞したとのこと。今、♪三畳一間の、………風景は見られない。
『神田川』歌碑が、3キロ弱上流末広橋脇の小公園にさりげなく置いてある。

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高田橋

暗渠として流れてきた神田川分水(写真右)がここで神田川本流に合流する。

高田橋は新目白通りに掛かる橋、すぐ脇で直行する明治通りに掛かる橋が高戸橋。
写真は下流の高戸橋から上流方向の高田橋を見たところ。

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都電荒川線

明治通り(左脇)と並行して都電荒川線が通っている。荒川線は写真後方でほぼ90度左折して、今度は新目白通りに沿って走る。この辺、二つの道路と都電、神田川の交差で、やや複雑な様相。

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神田川遊歩道に戻って

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上総層群(かずさそうぐん)

曙橋付近から下流にかけて、神田川屈指の景観が川底に見られる。上総層群。
上総層群東京の上総層群については、こちら参照。

神田川の流れで関東ローム層が流されて露出したものか、神田川改修で掘り下げた時に露出したものをそのまま残しておいたものか。どちらにしても堅く平坦な地層なのでコンクリートで覆う必要が無かったのだろう。そのお陰で何とか三方コンクリート護岸を免れ、神田川流域の中でも屈指の見所となっている。

なおこの上総層群は多摩川中流域(昭島宿河原)、仙川の一部で見る事が出来る。特に昭島の「牛群地形」は圧巻。
或は石神井川でもそれらしきものを見ることが出来る。

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豊橋付近

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権力の丘

神田川の流れに沿って、南に面して長い崖(落合崖線、目白崖線)が続くここは、権力者にとって格好の邸宅・庭園の地として垂涎の地だった。
「権力の丘」については、別途『番外編』としてまとめてあります。こちら参照。

前方、ホテル椿山荘、かって明治の元勲、山形有朋の邸宅・庭園の跡地。左側、神田川に沿って長く続く土塀に囲まれた木立の中に、広大な庭園が広がる。

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胸突き坂と関口芭蕉庵

神田川の流れる沖積面と豊島台を繋ぐ急坂。写真ではそれ程でもないが、結構な勾配。
階段の始まるところに関口芭蕉庵の入口がある。

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関口大洗堰

大滝橋、江戸川公園

井の頭池から引いてきた神田上水を、水位を上げるための大きな堰を小石川の地、現在の大滝橋あたりに築いた。関口の地名もこの堰に由来すると言う。
多くの場所が海を埋め立てて広げた江戸の町にとって、上質の水を確保することは江戸幕府喫緊の課題であって、家康の江戸入府の初期の頃に神田上水の掘削が行われた。大洗堰はその神田上水の言わば最後の堰で有って、ここで取水された水が江戸の町に分配・給水された。
「大滝橋」の名が示す通り、この堰から落ちる水は滝の様相で、大きな水音が響いたという。又、目白台の崖を背に風光明媚な所でもあり、植えられている桜とともに江戸庶民の観光名所でも有ったらしい(古い写真にその様子が写っています。検索してください)。現在はここに江戸川公園が設置されている。

上水と余水(江戸川)

関口大洗堰は水位を上げるとともに、流れを二つに分け、左側を上水用とし、余水を右側に流した。この余水の流れが江戸川と呼ばれるようになったが、1965年(昭和40年)河川法改正で神田川に統一された。
左側の上水は、一旦水戸藩江戸上屋敷(現在小石川後楽園)に引き込まれ、邸内の生活用水、庭園の池などに使われた後、屋敷を出て、水位維持の為、掛樋(御茶ノ水掛樋を掛けて現在の水道橋の地点で神田川(当時の江戸川)を超え、江戸市中に配した。
小石川後楽園にはかっての神田上水の流れ跡が残されている。

※ こちらの地形図に御茶ノ水掛樋までのルートを書き込んでおきましたが、こちらの図を参照して書き起こしたもので大雑把な推定です。

 

※ ただ神田上水は自然河川である神田川、善福寺川、妙正寺川を整備したもので、元々標高の低い谷筋を流れている。下の江戸川公園の写真を見ても分かる通り、神田川の北側には目白台の崖がそびえ立っている。
自然流下方式の神田上水では、江戸の下町への給水は出来たものの山の手台地上、特に江戸城に給水することは出来ず、水需要の増加と併せ、標高の高い台地の峰筋を通す玉川上水の開削が必要となった所以でもある。関口大洗堰の標高10メートル、神田上水四谷大木戸の標高33メートル。

関口大洗堰の終焉

これ程由緒ある関口大洗堰であるにもかかわらず、神田川にその痕跡は今殆ど残っていない。江戸川公園の片隅に僅かにミニチュアが残っているのみ。
内田宗治氏は著書『水が教えてくれる微地形散歩』の中で、大要次のように記している。
神田上水経由でのコレラが頻発、何時しか神田上水が有難い水の供給源としてよりも、疫病の元として怨嗟の的となり、その為特にその記念碑・施設を残そうと言う気にならなかったのではないか、と。

 

芭蕉と大洗堰

俳人松尾芭蕉がこの大洗堰工事に係っている。直ぐ近くに「関口芭蕉庵」もある。
俳聖と土木工事、最初この組み合わせはどうにもピンとこなかった。
だが芭蕉は伊賀の国(三重県)藤堂藩の武士出身だったそうだし、藤堂藩は藩祖高虎以来築城・土木水利に長じていたそうで、実際幕府から神田上水改修工事を命じられていたらしい。
俳聖として流浪の旅ををしながら霞を食っていたイメージの芭蕉だが、やはり世俗的にもなかなかの実力者だったようだ。そう言えば俗説だが芭蕉の「奥の細道」紀行は、諸藩の実情を調べる隠密的な目的だった、との説もある。

 

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大滝橋とそこからの下流方向

「大滝」とも称された関口大洗堰の痕跡は見られない。

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江戸川公園

この右側に神田川が流れている。

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目白台との高低差

神田川の直ぐ北側に、目白台の崖がそびえ立っている。権力者にとって南に広がる長い崖線は邸宅・庭園地として格好の地だったろうが、神田上水の水はこの崖を超えることはできない。

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関口大洗堰記念碑

江戸川公園に関口大洗堰の記念碑と堰を模したミニチュアが築かれている。ただ上でも述べた通り、これ程由緒ある関口大洗堰を記念するには少し貧弱過ぎやしないか。

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大洗堰ミニチュア

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江戸川橋まで

江戸川公園は北(左側)の崖線に沿って、江戸川橋まで続く。同時に江戸川橋で、北から切れ込んできた音羽の谷にぶつかり、崖線は一旦途切れる。

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江戸川橋

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江戸川橋の脇に、建っている碑

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