玉川上水-12(葵橋から四谷大木戸)

 

玉川上水43㎞、最後の区間

羽村堰で取水した玉川上水43キロの、最後の区間。玉川上水終焉の地、四谷大木戸水番所まで。

 

甲州街道に沿って

玉川上水は内藤新宿に入ってからも、基本的には甲州街道に沿って四谷大木戸水番所まで行ったと思われるが、新宿駅から新宿御苑までの間、殆どその痕跡は見られない。
駅周辺は様変わりしているし、甲州街道はJRや小田急を跨ぐ高架になり、新宿御苑手前でトンネルに入る。

新宿高校の敷地に往時を偲ぶ石樋と案内板が出ているし、新宿御苑には新たに整備されたせせらぎ風な「玉川上水」が流れている。
かっての水番所跡に建つ四谷区民センター脇には、発掘された石樋を使った碑が建っている。又余った水を流した余水吐(よすいばき)もかっての姿を偲ばせる。

その辺を辿って、玉川上水最後の区間をみる。

 

地形図

クリックすると拡大表示されます。巨大なサイズです。スクロールしながらご覧ください

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撮影Map

クリックするとGooglemapと連動して表示されます。

2018年、突然Googlemapでの表示が不調となり、解決の方法も有りません(Googleの仕様変更かも)。しかしmap上の位置関係は判別できますので、引き続きそのまま表示します。

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新宿駅を越えて

新宿高校と石樋

新宿御苑、新宿門の少し手前、新宿高校の敷地内に、かっての石樋が置いて有る。

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許可を得て高校敷地に立ち入り撮影(  2018/1/14)。
説明書きによれば雨水などの下水を、玉川上水に入れない為のものだったらしいが、兎も角こう言った石樋や木樋が江戸市中に張り巡らされていた訳で、これも大工事だった筈。

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新宿御苑

新宿門

正面の建物は「新宿御苑インフォメーションセンター」、右側に入場門が有って広大な新宿御苑が広がっている。
玉川上水痕跡は正面左側の通路に沿っている。こちらの通路も御苑の敷地内だが、ここは無料区間。

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玉川上水・内藤新宿分水散歩道

新宿区の広報サイトによると、玉川上水の歴史的価値を次世代に継承していくため、「玉川上水・内藤新宿分水散歩道」をかつての流れに沿って、新宿御苑散策路に整備、平成21年度から23年度にかけ整備を行い、全区間(全長540m)が平成24年3月に完成したとある。

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整備された流れ

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旧新宿門門衛所

新宿御苑は今のように公開される前、皇室庭園として利用されていたのでこう言った衛所で警備されていたのだろう。
もう一ヶ所の大木戸門門衛所と共に、1927(昭和2)年の建造。

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大木戸門、大木戸門衛所が近づく。ここで水路は左に分岐。

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旧大木戸門門衛所

上掲、旧新宿門衛所と共に1927(昭和2)年の建造。

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新宿御苑大木戸門

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玉川上水終焉の地、大木戸水番所跡

四谷区民センター(四谷地域センター)

新宿御苑大木戸門を出た直ぐ先、かってここは大木戸水番所が有った場所。現在四谷区民センタ―が建っている。
四谷区民ホール、新宿区立四谷図書館などが併存している建物だが、3階と4階に東京都水道局新宿営業所が入っていて、今も昔も水の供給に貢献していると言える。
建物の脇に玉川上水を記念する、幾つかの碑などが立っている。

大木戸水番所」の名称は、ここから80メートル程先に有った「四谷大木戸」から来ている。

 

江戸市中に配水

玉川上水の終点をこの四谷大木戸に決めたのは、その標高。海抜33メートルは江戸市内でも最も高い所に位置し、江戸城を含む江戸市内全域に配水することが可能となった。
この先、江戸市中へは地中に埋めた石樋や木樋で給水され、井戸の形で汲み上げられた。
海に近く埋め立て地が多い江戸で、堀抜き井戸は海水が混じったりして実用的でなかった。時代劇で長屋の井戸のシーンは殆どこの上水利用の形。「水道の水で産湯を使った」は江戸っ子が粋がってのセリフ。

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四谷大木戸跡

四谷区民センター(大木戸水番所跡)から約80メートル、甲州街道の四谷四丁目交差点。ここにかって四谷大木戸が有った。

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大木戸

大木戸は、江戸と地方を繋ぐ主要街道に設けられた検問所。各街道毎に設置されていたのだろうが、現在その跡が確認できるのは甲州街道のこの四谷大木戸と東海道の高輪大木戸だけらしい。検問の役と共に江戸という町の範囲・境界を示す意味も有った。
甲州街道は江戸城半蔵門と甲府を繋ぐ道で、江戸城の危機管理上極めて重要な街道
甲府は徳川の親藩であり、新宿に広大な屋敷(現在の新宿御苑)を賜った内藤家も、半蔵門の名前の由来となった服部半蔵も徳川の譜代家臣で、言わば旗本。家康は甲州街道沿いを親徳川勢で固めた。
この四谷大木戸もおそらく軍事・危機管理上、特別に重要な検問所(関所)だったのだろう。

なお江戸の町々には治安維持の為「町木戸(木戸)」が置かれ、木戸番(番太、番太郎)が番小屋に詰めていた。

同じ検問所として「見附」が有るが、見附は城内(江戸城)へ入るより厳重な検問所。赤坂見附、牛込見附などの地名にその跡を残す。

 

 

四谷大木戸跡の碑、玉川上水遺跡

四谷区民センター(四谷大木戸から新宿側80メートル)脇に建つ四谷大木戸跡の碑。元々の大木戸からは少し(80メート程)離れているが、玉川上水の碑と共にここに置かれている。
この碑は、地下鉄丸ノ内線工事の際出土した石樋を利用したものだと言う。

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水道碑記

この碑もおそらく掘り出された石樋を利用したものだろう。高さ460cmと言う巨大さ。

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四谷区民センター裏の、玉川上水関連施設

上掲「水道碑記」などと、建物を挟んで反対側にも玉川上水を偲ぶ施設が有る。
写真右側のコンクリート塀の外側に、玉川上水余水吐(よすいばき)の水路が延びている。

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ポンプ? 弁?

囲いの隙間が細かく、ハッキリ見えないが弁らしきものが見える。写真左側にもう1台同じものが有るのだが囲いの角度によって見えない。単に記念の為に置いてあるのか、或は現役なのか分からないが。
この裏に、下掲の玉川上水余水吐が通っている。

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玉川上水余水吐(よすいばき)

四谷区民センター(四谷大木戸水番所)裏から、玉川上水余水吐の水路が、写真左側に延びている。
余った水をここに流した。

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渋谷川源流の一つ

玉川上水余水吐は渋谷川の主要源流だった。写真右側は新宿御苑

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四谷四丁目(大木戸)から

四谷四丁目から区民センター側を見た所。
中央、トンネルを抜ける甲州街道。その右寄りの建物が四谷区民センター、更に右端が都道430、かってこの道が甲州街道だったのではないか。
写真中央、トンネルの奥から左側に掛けて新宿御苑と、その手前に玉川上水余水吐。

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今回ここまで

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