石神井川-1(隅田川への合流から王子)
石神井川を下流から辿る
石神井川終焉の地、王子
この駄サイトで取り上げている幾つかの川・流れは、原則として上流から歩き始めている。
今回石神井川は反対に、下流側から歩くことにした。理由は特に有りません。敢えて言えば河口に近い王子の地が、地形との関係で非常に興味深く最初に取り上げたかったこと。又丁度花見の季節を迎え、桜の名所王子の飛鳥山から取材を始めようと思ったことなど。
小平市に端を発した石神井川が、北区掘舟三丁目で隅田川に合流、終焉を迎える。
王子はその手前に有って、昔の流路と今の流路の関わりを、地形との関係で見せてくれる貴重な場所。
又江戸時代から行楽の名所とされた飛鳥山や音無し渓谷が、王子駅の直ぐ脇に広がり、こちらも見どころが有る。
地形図
クリック、拡大表示でご覧ください。
撮影Map
クリックするとGooglemapと連動して表示されます。
2018年、突然Googlemapでの表示が不調となり、解決の方法も有りません(Googleの仕様変更かも)。しかしmap上の位置関係は判別できますので、引き続きそのまま表示します。
日暮里崖線と谷田川の谷
上掲地形図を見て貰うと分かるのだが、武蔵野台地の北東端、北の赤羽から南側の上野に掛けて、台地と低地を隔てるクッキリした崖が続いている。いわゆる日暮里崖線である。
この崖線のほぼ中央部、崖が切れて狭い切通になっている所が一ヶ所ある。丁度王子駅のある場所だ。王子駅の西側には石神井川が流れ込む谷筋が武蔵野台地奥に続いている。
王子駅の南側には飛鳥山の西脇から不忍池に続く長い谷筋が続いていて、この谷筋と日暮里崖線に挟まれた「上野台」は腕のように細い。
元々、原初の石神井川は王子で飛鳥山にぶつかった後、この谷を南下して不忍池を経過、東京湾に注ぐコースを取っていたらしい。地形図を見るとその経過がよく理解できるし、当時この谷には海が入り込んでいて、不忍池は海が引いた後に取り残されたものだそうだ。
ここを流れる石神井川は当時「谷田川」或いは「藍染川」と呼ばれていたそうだ。藍染川となこの流れを利用して染色が盛んに行われていたことによる。
王子で日暮里崖線を突き破る石神井川
その後石神井川は飛鳥山を北に迂回する形で、台地の一番狭い箇所を突き破り、日暮里崖線の東側にでて隅田川に注ぐコースに変わる。この流路変更がいつ頃だったのか、どうもハッキリしていないらしいが、これには人工説と自然説の二つの説が有るらしい。
人工説は、洪水の時下流の日本橋方面を鉄砲水の被害から防ぐために、太田道潅の時代か徳川家康の時代に、狭くなった台地を突き崩して直進させたと言う説。或いは豊島氏がこの地を治めていた時に、治水・利水の目的で切通したという説も。つまり王子から下流は人工河川と言うことになる。
自然説は海食涯等により薄く狭くなった台地を、直進して来た石神井川の洪水の水が突き破ったとする説。
隅田川に注ぐ下流部分が蛇行しており、人工による河川改修では考えにくい等の理由で、現在は自然説が有力らしい。
なお昭和30年代の河川改修で、現在は飛鳥山の下をトンネルで抜けている。
河川改修以前の河床が現在「音無し親水公園」として整備されている。
石神井川
最初に石神井川を、隅田川合流地点から遡ってみた。
隅田川合流
写真右から石神井川が入り、隅田川に合流する。
合流地点に一番近いのは、実はこの河口脇に立つ「堀舟清掃作業所」。下2枚の写真は事務所に断り、清掃作業所敷地に入らせて貰って撮影したもの。
同じ地点からの上流方向
写真右側通路の脇に清掃作業所の建物。
上流方向
上を通っている高架は、首都高速中央環状線。
1964年の東京オリンピックを皮切りに、高速道路の建設ラッシュになったが、用地として比較的容易に確保できるところは川の上。東京の主な河川の上は軒並み高速道路の高架が走ることとなった。今それが見直されつつあるようだ。
途中に有る親水公園風エリア
但し柵が有って水辺に降りることは出来ない。
釣り人が何人かいたが、何が釣れるのか?この川で釣った魚が食えるのか、キャッチ&リリースなのか?
工事中
至る所で工事中だった。通りがかりの近隣の人が「こんな工事やっても水がキレイになる訳じゃない。税金の無駄だ」とか言っていた。
堀舟橋から王子駅方向
王子駅とその下を潜る水路トンネルが見えて来た。
王子駅と地下
京浜東北線と、手前は都電荒川線。上の高架は東北・上越新幹線。
線路の下に壁で仕切られた2本の水路トンネル。こちらで飛鳥山の下にもぐりこんだ石神井川がここで顔を出し、東京低地を隅田川まで流れる。真ん中のコンクリート壁は強度維持の為か。
写真右からの水路は「音無親水公園」からの延長水路。元々は飛鳥山を迂回しての旧石神井川(この地域では音無川と呼んでいたそうだ)水路跡だった。
王子駅の地下には石神井川隧道、音無渓谷の流路(跡)が通っている訳で、地下鉄南武線も乗り入れている。
南武線の改札から地上に出るエスカレーター脇に、「勾配が急なので段差に気を付けて」と言った旨の注意書きが掲示してあった。多分この水路の制約を受けてのことだろう。
旧石神井川水路
音無親水公園の延長水路が、一旦地下を潜った後、王子駅前で再び顔を出す。
市街地の主要駅で、あまり見ない風景。でも中々風情が有る。
線路を超えて、沖積面から武蔵野面に出る
音無橋
王子駅中央口で高架をくぐり、駅の反対側に出る。飛鳥山の脇に沿って明治通りの坂を昇ると武蔵野台地上に出る。この坂は沖積面(東京低地)から武蔵野台地に上がる坂で、台地の縁(日暮里崖線)の切り通しの部分。
台地上に上がった所に音無橋がある。
石神井川と音無し親水公園
音無橋脇から音無し親水公園(右側)に降りる階段がある。コンクリートの壁を挟んで石神井川。
音無橋直下、トンネルに流れ込む石神井川
写真だけでは角度が良く分からないが、台地上を流れて来た石神井川が、急速に勾配を下げながらトンネルに入り、東京低地(沖積面)に下り落ちる様子が見える。
トンネルは2本有って、この写真の左側にもう1本の水路が並行して流れ、トンネルに流れ込む。
Google Earthでの全体像
全体像が分かりづらいので、Google先生の力を借りて、航空写真を掲載。
石神井川が左(西)から入って来て、音無橋の下からトンネルで飛鳥山をくぐり、JR線を超えた地点に出る。
飛鳥山を迂回して流れていたかっての旧石神井川水路は今、音無親水公園として整備され、その延長水路もやはり一旦地下に潜った後、王子駅前に顔を出し、JR線に沿う形で石神井川に合流する。
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