野川-3(源流の一つ-真姿の池、元町用水)
野川源流の一つ、元町用水(国分寺崖線とハケの水)
野川の水源・源流は、日立中央研究所大池と言うのが本筋だが、それと並んで、と言うかそれ以上に味わい深い源流が、国分寺駅からもそう遠くない所に湧き出している。真姿の池湧水群、或いは国分寺境内周辺からの湧水がそれ。その湧水を集めて野川に注ぐのが元町用水である。
その流れの、主に上流部は「お鷹の道」として雰囲気のいい散策路に整備されている。「お鷹の道」名前の由来は、この湧水群の清流沿いが、かって江戸時代尾張徳川家のお鷹場として指定されていたことによる、とのこと。
日立中央研究所大池からの水と、元町用水の合流点が国分寺駅から南、400㍍ほどの国分寺街道一里塚交差点脇に有る。ここで二つの流れが合流し、野川となって国分寺崖線沿いを流れ、さらに途中で幾つかのハケ下湧水を集めて流れる。
地形図
地形図、並びに撮影Mapは野川源流部ページで共用です。クリックして拡大表示でご覧ください。
国分寺崖線が、北の武蔵野面と南の立川面をハッキリ分けています。全てはその境界部分に集中していることが分かります。
撮影データMap
クリックするとGooglemapと連動して表示されます。 (2018年、突然Googlemapでの表示が不調となり、解決の方法も有りません。しかしmap上の位置関係は判別できますので、引き続きそのまま表示します)。
国分寺
現在の国分寺が、東京都国分寺市西元町1丁目、国分寺崖線を背に建っている。この国分寺は、武蔵国分寺跡の直ぐ近くの北側に建っているのだが、聖武天皇の建てた武蔵国分寺とは直接の関係は無いのだそうだ。
……と言うことで、ここでは元町用水最上流部としての国分寺を取り上げる。
※ 武蔵国分寺、国分尼寺跡についてはこちら
元町用水最上流部
現在の「国分寺」境内に幾つかの湧水源が有り、確認できるところでは元町用水の上流端となっている。地形的にもこれ以上上流部と言うのは無いだろう。
お鷹の道もこの国分寺の前から始まる。
下の写真では分かりにくいが左下に池が有る。立ち入りできなかったのでハッキリとは見えなかったが、正面奥に湧水元が有るのだろう。
境内の別の場所にも小さな湧水が
お鷹の道
写真左の塀は国分寺。
門の直ぐ脇からお鷹の道がスタートする。水路沿いに雰囲気のいい遊歩道が続く。
休憩場所と案内板
国分寺境内からの湧水
この奥は国分寺境内、更にその奥は国分寺崖線。そこからの湧き水を集め結構な量の水が流れ出て合流している。
湧水を集めての水路と、それに沿ってお鷹の道が続く
※ 季節による湧水量の違い
上の写真と下の写真を見て分かるように、水路を流れる水の量が違う。上は2014/08/30、梅雨明け後の撮影。下は今回、7月2日梅雨最中の撮影。
一般に武蔵野台地の湧水は比較的浸透経路が短く、富士山の湧水のように数年、数十年掛けて湧き出るのとは違い、その分ろ過の程度も低い。
浸透経路の短さは、降雨と湧水量との関係にも反映していて、梅雨の後には湧水量が多くなるケースが多い。
国分寺跡資料館と史跡の駅「おたカフェ」
お鷹の道を少し下った所、左側(写真前方)に「国分寺跡資料館」、道の右角に史跡の駅「おたカフェ」がある。
国分寺跡資料館は史跡武蔵国分寺跡の紹介施設。資料館の裏手に「おたかの道湧水園」があり敷地に湧き水が出て、やはり元町用水の水源の一つになっている。池の有る湧水保全地区は環境保全の為入ることは出来ない。入館料が湧水園と共通で100円。おたカフェで扱っていたのだが、今回(17/07/02)閉鎖されていた(3枚下の写真)。閉鎖が一時的なものかどうか分からないが、以前(14/08/301)入館したときの写真を掲載しておきます。
おたカフェ
国分寺跡資料館、今回(17/07/02)閉鎖中だった
国分寺跡資料館(2014/08/30撮影)
湧水園裏手の湧き水(ハケの水)
お鷹の道に戻って
流量計と真姿の池湧水群への入り口
写真中央右、流量計。
写真中央奥(人物の居るところ)、左側に真姿の池湧水群への遊歩道が切れ込んでいる。
真姿の池湧水群
ここから左側に、真姿の池湧水群への遊歩道分岐。
国分寺崖線と湧水
地形図を見て分かる通り、多摩川が削りだした河岸段丘である国分寺崖線が、非常に顕著な形でお鷹の道の背後に立ち上がっている。高低差はほぼ15メートル。この崖は大田区田園調布の先まで続いている。
崖線に湧水は付き物。崖下から絶えることの無い清水が湧き出している。
東京都の名水百選にも選ばれているこの湧き水を、ペットボトルに詰めて持ち帰る人も見かけたが、但し飲用には一度煮沸することが必要なようだ。
真姿の池と弁財天
真姿の池と言うのはこちららしい。崖線から水が湧き出して池を満たしている。その池の中島に弁天様が祀られている。
弁財天
弁天様は水の神様でもある。
国分寺崖線
崖線の上、武蔵野面
真姿の池湧水群の背後に、国分寺崖線の上(武蔵野面)に登る階段がある。登った所は武蔵国分寺公園が広がる。
国分寺崖線の上(武蔵野面)から見下ろす真姿の池湧水群
遥か下(立川面)に湧水群。高低差は15メートル程。
階段の途中から見る湧水群
坂の途中の社
流れを下る
水源から流れに沿って直ぐの所に、湧水を洗いものに利用している野菜直売所が有る。何でも土地の旧家だそうで、この直売所も結構有名らしい。
お鷹の道に合流
真姿の池湧水群からの水路と、脇の遊歩道は前方、元町用水とお鷹の道に合流する。
再びお鷹の道
真姿の池湧水群からの水も合流して、元町用水として流れる。
洗い場
生活に溶け込んでいた清水
「お鷹の道」、この辺で終わりか?
用水に沿っての遊歩道が途切れ、用水を辿ることが困難になる。
本来は迂回して次の橋に出るのだが、狭い縁を通って極力流れを辿る。
進行不可
途中、どうしても用水沿いに進めない所が、僅かな距離だが1箇所有った。
この先、樹木などが邪魔だったが、何とか通り抜け可能。
既に完全に「お鷹の道」と言うイメージではなくなる。
「お鷹の道」遊歩道は既に無く、右側の道路もここで行きどまり。「ほたるのすむ川」の看板は誰が見る事を意図してのものか?
切梁
用水上部のつっかい棒のようなものを切梁と言う。
石垣護岸からコンクリート護岸に替って切梁が掛る。途端に風情も無くなって下水路の雰囲気になる。切梁に片足を掛けながら用水の縁を歩く。
再び住宅を縫って
道路から離れ、住宅の間に入ってゆく。狭い縁と切梁に足を掛け、何とか流れを辿る。
無理して渡り切ったが、通路の狭さや樹木が邪魔とか、それ以上に人の目が気になった。
道路に出る
前方道路が見えてくる。野川・元町用水合流点が近づいてきた。
合流点(国分寺街道一里塚交差点)
道路に出て正面、国分寺街道の一里塚交差点脇で野川と元町用水が合流する。
元町用水は右側建物の入り口の下を暗渠でくぐり、その先で道路を超えて合流点に流れ込む。
元町用水排出口(合流口)
道路を超えてここで排出される。
合流してくる野川上流部
こちらは日立中央研究所、大池からの野川上流側。
合流脇の石仏
そして野川へ
国分寺街道の一里塚橋を潜って、新たに野川として流れて行く。
今回ここまで
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