ヒトの進化・社会の進化の最近のブログ記事
新聞赤旗(2016/5/4)記事
中国科学院など研究グループ
ヨーロッパの現生人類(ホモ・サピエンス)は2度にわたって大きく入れ替わったことが明らかになった。― 。中国科学院などの国際研究グループが2日付の科学誌『ネイチャー』電子版に発表しました。
アフリカで20万年前ごろに誕生した現生人類は、4万5000年前ごろヨーロッパに到達したと考えられています。研究グループは、ヨーロッパとアジアの各地で見つかった4万5000年前から7000年前にかけての現生人類、51人分の骨のゲノム(全遺伝情報)を解析しました。
その結果、1万9000年前ごろ、ヨーロッパに住んでいた人々の系統が大きく変わったことが分かったと言います。1万9000年前は、地球が最も寒かった時期の直後に当たります。最寒期には、ヨーロッパはフランス北部まで厚い氷に覆われました。
研究グループはスペインなどヨーロッパの南西部にいた人々が最寒期の終わりとともに、ヨーロッパ中部から北部へと広がったことを示すとみています。
更に、1万4000年前ごろにもヨーロッパに住んでいた人々の系統が大きく入れ替わる出来事が有ったことが分かりました。このときは、現在の中東に当たる地域からやってきた人々がヨーロッパの広い範囲に広がりました。中東では1万年前ごろ農耕が始まったと考えられています。
しかし、ヨーロッパに中東から大勢の人々がやってきたのは、それより数千年前だったことになります。
2度にわたって人々が入れ替わったことで、4万5000年前ごろ最初にヨーロッパにやってきた人々の系統をそのまま受け継ぐ現代のヨーロッパ人は殆どいなくなったと言います。
共通祖先がチンパンジーにそっくりだっただろう論拠(24P)
- ヒト・チンプ系統が分岐する前に、類人猿系統から分かれたのがゴリラ。ゴリラもチンプに似ているので、ヒト・チンプの祖先に繋がる系統もチンプ似。
- ヒト・チンプ系統から分岐したヒトの最初期の化石がチンパンジーと区別し難い。
- アフリカ西部と東部のチンプは150万年前に分岐したにも関わらず、外見も行動も酷似。150万年殆ど変化の無かった西部と東部のチンプは、更にヒトとの分岐の時点に遡って、共通祖先の姿をとどめているかも知れない。
ヒトに繋がる類人猿の分岐年代(52P)
遺伝子の系統樹は、1つの枝の年代が化石から特定できれば、一層確実になる。
- 化石の記録では、オランウータンが他の類人猿から分かれたのは1200万年-1600万年前。これがヒト・チンパンジー系統の分岐点の年代になる。
- ゴリラは、チンプとヒトの分岐の200万年ほど前、730万年前に分岐
- チンパジー系統とヒトの分岐は460万-620万年前。
※ 但しこの辺はサヘラントロプス・チャデンシスの推定年代と若干の矛盾が有る。
新聞赤旗記事転載
従来説より大幅に早い可能性
現生人類(ホモ・サピエンス)が、少なくとも8万年前、中国南部に進出していたことを示す証拠を見つけた―。中国科学院などの国際グループが、15日付の科学史『ネイチャー』電子版に発表しました。従来、約20万年前にアフリカで誕生した現生人類がユーラシア大陸へ広がったのは6万年前ごろだったとする説が有力で、大幅にさかのぼる発見です。
研究グループは2011年~13年にかけて、中国南部、湖南省道県にある洞窟を発掘し、47本の人類の歯のほか、多数の哺乳類の化石を見つけました。
人類の歯は、これまで世界の各地で見つかっているネアンデルタールや現生人類の歯と比較した結果、いずれも現生人類のものであることが分かったと言います。
発掘された場所で採取した石筍(せきじゅん=鍾乳洞の床に石灰質を含む水が落ちて固まったたけのこ状の石)を使った年代測定で、人類の歯や哺乳類の化石は少なくとも8万年前、最大では12万年前の可能性があるとしています。
現生人類は、現在のイスラエルのあたりに10万年前ごろ進出したことを示す化石が見つかっていますが、継続して住んでいた記録は見つかっていません。
遺伝的な研究からは、6万年前ごろアフリカと中東を除く地域でこれまで発見されている最も古い現生人類の化石は、北京の近くの田園洞やボルネオ島のニア洞窟、オーストラリアのマンゴ湖の5万年前から4万年前にかけてのものとされています。
新聞赤旗 2015/6/8 記事
330万年前 "猿人説"証拠?
東アフリカのケニアで約330万年前の石器と見られる石の破片や、それを作るのに使ったらしい大きな石等が見つかりました。これまで石器が登場したとされている年代を大きくさかのぼります。
当時いたのは猿人で、原人の出現とともに石器の時代が始まったとしてきたこれまでの考え方とも一致しません。石器は何時、誰が作り始めたのでしょうか―。 (間宮利夫)
2015/5/21 新聞赤旗記事
ケニアの遺跡
70万年さかのぼる
東アフリカ・ケニアの遺跡で約330万年前の、猿人が繁栄していた時代に加工された石器と見られる石の破片や、加工に使われたと見られる大きな石が見つかった―。アメリカとケニアなどの国際研究グループが、21日発行の科学誌『ネイチャー』に発表しました。石器だとしたら、これまで人rづいが石器を作り始めたとされていた時代より約70万年さかのぼることになります。
この遺跡は、ケニア北西部のトゥルカナ湖西岸にある「ロメクウィ3」です。トゥルカナ湖西岸では、さまざまな人類の化石が見つかっており、発掘調査が盛んに行われています。研究グループは、2011年から12年に掛けてロメクウィ3から約150個の鋭くとがった石の破片や、それを作るのに使われたと見られる大きな石を発見しました。
石の破片は自然の条件では出来ない形状をしており、人類が加工して作った可能性が高いと言います。川の流れなどで動く大きさより大きいことから、見つかった場所で作られたと見られています。材料の石は、周囲で手に入れられることも分かりました。地層の年代は約330万年前と推定されました。
発見場所から1キロ以内では約330年前のケニアントロプス・プラチオプスと呼ばれる猿人の化石が見つかっています。しかし、研究グループは現在のところどの人類が作ったかは分からないとしています。
これまで最古の石器とされているのは、エチオピアのゴナ遺跡で見つかった約260万年前のものです。このタイプの石器が最初に見つかったタンザニアのオルドバイ渓谷にちなんでオルドワンと呼ばれています。オルドワンを作ったのは、猿人よりも脳が大型化したホモ(ヒト)属だったとされています。
今回見つかった石器と見られるものは、オルドワンより原始的だったと言います。
日経電子版 2015/3/5付記事転載
国際グループ科学誌に発表
新聞赤旗掲載、全文転載
184人の参加者で再現実験
言語の発生と発達が石器を進化させた可能性がある―。英セント・アンドルーズ大学などの国際研究グループが、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』(13日付)に発表しました。
石器は約250万年前に初めて作られました。アフリカ・タンザニアのオルドバイ渓谷で初めて発見されたことからオルドワン型と呼ばれる最初期のこの石器は、石を叩いて出来た剥片や礫を利用したものです。
約180万年前に、より精巧なアシュール型石器が作られるようになるまで、70万年程の間、オルドワン型石器が作られ続けました。
研究グループは、184人の大人の参加者にオルドワン型石器を作ってもらう実験をしました。作り方は、出来上がっている石器を見て作るやり方、石器を作る名人が作るのを見てまねて作るやり方、名人から身振りで教えて貰って作るやり方、名人から言語で教えて貰って作るやり方などです。
合わせて6000以上の新たに出来上がった石器をさまざまな方法で計測して評価した結果、言葉で教えて貰って作った石器が最も優れていることが分かったと言います。
人類がいつから言葉を使い始めたかは分かっていません。研究グループは、今回の結果はオルドワン型石器を作っていた段階で人類は言葉を使い始め、言葉が発達することによってアシュール型石器が生まれたことを示している可能性が有るとしています。
新聞赤旗記事(2014/6/23)、転載
ネアンデルタール人への進化は顔と歯から始まった―。国際的な人類学研究グループが、スペインに有る約40万年前の遺跡から見つかった人類化石を調べた結果分かったと、20日発行された米科学誌『サイエンス』に発表しました。ネアンデルタール人らしい様々な特徴の多くは最初から備わっていた訳ではなく、その後たどった歴史の中で徐々に形成されたことを示すと言います。
ネアンデルタール人は、数十万年前から3万年前ごろにかけて現在のヨーロッパや西アジアに住んでいました。顔が大きくて中央部が前に突出している他、顔の頂部が低くつぶれた形で長いなど、同時代に他の地域に住んでいた人類祖先とは異なる特徴を持っていました。こうした特徴はどのように形成されたか、人類学上の大きな謎となっています。
研究グループは、スペイン北部のアタプエルカにある約40万年前の洞窟遺跡、シマ・デ・ロス・ウエソスでこれまで見つかったたくさんの人類化石を調べてきました。これらの化石はネアンデルタール人の祖先とみられ、17人の頭蓋骨が含まれています。
頭蓋骨等を詳細に調べた結果、ネアンデルタール人らしい特徴は顔や歯に現れていたものの、そのほかの部分には現れていませんでした。ネアンデルタール人の前歯は大きく、食べ物を噛むだけでなく皮をなめす際に使われるなど”第3の手”の機能を果たしていたと考えられています。
恐竜絶滅後の地球
夜行性哺乳類 カルポレステス(霊長類の祖先) - 親指が内側に曲がる。
肉食巨大鳥 ディアトリマ - 地上の覇者(ヨーロッパから北アメリカ)、哺乳類夜行性の原因。 ※ 最初の鳥―1億5000万年前
アジアだけ巨大鳥化石出ず、地理的に隔離、哺乳類の進化 - 肉食大型哺乳類ハイエノドント。
地球温暖化 → アジアと北アメリカを閉ざしていた氷河消滅 → ディアトリマとハイエノドント遭遇、動きの速いハイエノドントの勝利。
霊長類は未だ夜行性
針葉樹が種流、その合間の広葉樹の果実。地上移動が必要。肉食哺乳類の恐怖。
温暖化
グリーンランド沖海底での不思議な穴800個 2003年発見。
5500万年前の異変痕跡。大陸移動に伴うマグマとメタンハイドレード接触。メタンガス発生 → 温室効果10度~20度上昇。
広葉樹の森と樹冠。地上に降りなくても済むようになった。
目の進化
目が顔の正面に並ぶ - 立体視。
その後地球の寒冷化(大陸分裂、南極孤立、自転による周囲の海流)
目の進化で生き延びる
眼窩後壁 - カトピテクス
理由、網膜―フォベア(視細胞集中)←眼窩後壁により視線固定。
3色色覚(赤)の獲得
寒冷化の進行 → 果実の減少 → 若葉の利用
視力の発達による社会化の進化
真猿類 - 顔の表情豊か、それを感じることのできるフォベアによる高い視力 → 社会性の発達(秩序と協力)
※ 他の群れ(魚、鳥等) - 単なる数の集合
※ 人間だけの白眼、視線の方向が分かり、自然界では不利。人間はそのデメリットが無い程度に社会性が発達。より豊かな人間関係(見つめ合う等)。
頑丈型と華奢型
200万年前、2種類の人類出現―バラントロプス(植物の根)とホモ・エルがスター(腐肉あさり)
バラントロプス、100万年前絶滅。
絶滅は偶然、若し生き残っていたら草原での野生生活だったろう)。
肉食による脳の増大
アウストラロ・ピテクス、バラントロプス―500ml
ホモ・エルがスター―900ml
ホモ・エレクトス―1000ml
ホモ・サピエンス―1400ml(ネアンデルタール人はこれを凌ぐ)
言葉
ネアンデルタールとホモ・サピエンスの運命を分けた要因
頭蓋骨の形状と気道の長さ
ネアンデルタール、母音の発音が難しかっただろう
遺伝子的要因―ブローカー野、ヒトだけが発達(フォックスP2遺伝子、第7染色体上、20万年前獲得)
言葉は第二の遺伝子(ドーキンス)
世代を超えての伝達。進化が早い。-文明
※ ネアンデルタール人の洞窟からは、壁画が発見されず。
「新聞赤旗」記事、転載
以下、5月13日、5月20日、二回に渡って、『新聞赤旗』紙上に掲載された記事の画像をそのまま掲載します。自分のバックアップ用として。
画像は縮小表示されています。クリックして拡大表示でご覧下さい。
従来の定説より早く オーストラリアへ
現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生の地であるアフリカを初めて出たのは13万年前頃で従来考えられていたより早かった―。ドイツとフランス、イタリアの研究グループが21日公表された科学誌『米科学アカデミー紀要』電子版に発表しました。
これまでは現生人類がアフリカを出たのは1回だったとされてきましたが、今回の研究は複数回だったことを示しています
ネアンデルタールと現生人類で、混血(生殖)が有った証拠が見つかった。とのニュースが流れた。
以下は共同通信からのもの。
【ワシントン共同】現生人類は、数万年前に祖先が混血したネアンデルタール人から、皮膚や毛髪の特徴や一部の病気に関する遺伝子を受け継いでいるとする研究結果を、米ハーバード大のチームが30日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
特に東アジアや欧州の人でこの度合いが高かった。一方、男性の生殖機能に関するネアンデルタール人の遺伝子はほとんど受け継がれておらず、混血時に不妊を引き起こす原因となって消え去ったとチームはみている。
初期人類はアフリカで生まれ、欧州やアジアに広まる過程で、別系統の人類とされるネアンデルタール人と混血したとの説が最近有力になっている。
2014/1/7 新聞赤旗より転載
440万年前
アフリカ東部エチオピアの約440万年前の地層から見つかったラミダス猿人(アルディピテクス・ラミダス)が人類の系統であることを示す新たな証拠が見つかった―。東京大学総合研究博物館の諏訪元・教授の加わる国際研究グループが、6日公表された科学誌『米科学アカデミー記要』電子版に発表しました。
ラミダス猿人は1992年、米・カリフォルニア大学のディム・ホワイト教授率いる国際研究グループのメンバーとしてエチオピア・アファール地域のアラミスで探索していた諏訪教授が初めて発見しました。その時は1本の歯の化石だけでしたが、その後、頭や腰、手足など女性とみられる全身骨格の多くがそろった化石など、少なくとも35体分が見つかっています。
ラミダス猿人が見つかるまで、最古の人類として知られていたのはエチオピア・アファール地域のハダール等で見つかった三百数十万年前のアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)で、ラミダス猿人がどのような人類だったのか、研究者の関心を集めました。
研究グループは、2009年にこれらの化石の詳細な解析結果を米科学誌『サイエンス』に発表。ラミダス猿人が、光が下まで差し込む比較的明るい森に棲んでいて木に登ったりしていたものの、主に地上を2本の足で歩き、木の実や昆虫、小さな動物を食べる雑食性の人類と結論付けました。
しかし今世紀に入ってアフリカ各地で見つかった600万年以上前かそれより少し後に生きていた3属3種の猿人との関係などを巡って研究者の間で議論が有り、ラミダス猿人が樹上生活にも適応していたことから、人類ではなく類人猿だとする見方も示されていました。
研究グループは今回、アウストラロピテクスやホモ(ヒト)など人類の系統と、ゴリラやチンパンジーなど類人猿で大きな違いが有ることが知られている頭蓋底(とうがいてい)について詳細に解析しました。その結果、ラミダス猿人の頭蓋底は頸(けい)動脈が通る穴の間が類人猿より広く、アウストラロピテクスに似ていることなど人類の系統であることが確認できたといいます。
2013年12月17日付け、新聞赤旗記事からそのまま引用
フランスの遺跡に証拠
ネアンデルタール人が埋葬していたことを示す証拠が見つかった―。米国とフランス等の国際研究グループが、16日公表の科学誌『米科学アカデミー記要』電子版に発表しました。
埋葬の証拠が見つかったのは、フランス中部のラ・シャペル・オー・サン村に有る洞窟。この洞窟では1908年にネアンデルタール人の人骨が発見され、その様子から埋葬されたのではないかとされました。しかし、その後、埋葬を否定する見解が示され、はっきりしていませんでした。
研究グループは12年前からあらためて洞窟の発掘を行い、新たな人骨や動物の骨を発見しました。これらを調査した結果、人骨と動物の保存状態が明らかに異なることが分かりました。これは人骨が死後すみやかに埋められたのに対し、動物の骨が放置されたことを示すもので、研究グループはネアンデルタール人が埋葬した証拠だとしています。
ネアンデルタール人が埋葬していたかどうかを巡っては、イラクのシャニダール遺跡で1950年代に見つかった人骨の周囲に大量の花粉が見つかったことから埋葬されたとみられたものの、その後、花粉は小動物が運び込んだ可能性が高いと指摘されました。
新聞赤旗、2013年10月20日(日)転載
現生人類(ホモ・サピエンス)を含むヒト(ホモ)属の源流に位置付けらる3種の人類祖先は、本当は同一の種だった―。黒海に面したグルジアで見つかった約180万年前の人類化石を詳しく調べた結果分かったと、同国やスイス、イスラエル、米国の研究グループが科学誌『サイエンス』(18日号)に発表しました。
防備録
http://www.worldtimes.co.jp/today/kokunai/130418-6.html
上記サイトより、そのまま引用
インドネシア・フローレス島で2003年に化石が発見された小柄な新種「フローレス原人」は、初期のジャワ原人が孤島に渡って体が小さくなった可能性が高 いと、東京大と国立科学博物館の研究チームが17日、英王立協会紀要電子版に発表した。脳の大きさを精密に測定して分かった。
インドネシア・フローレス島で化石が発見された小柄な新種「フローレス原人」の復元像(身長110センチ)。東大と国立科学博物館の研究チームは頭骨化石の脳容量を426ccと推定し、祖先は初期ジャワ原人の可能性が高いと発表した(国立科学博物館提供) |
フローレス原人は7万4000年~1万7000年前に同島に生息したことが遺跡調査で判明。食料が少ない熱帯雨林の島で「島しょ化」と呼ばれる現象が起き、身長が約1メートルまで小さくなったと考えられるが、祖先は謎とされていた。
東アジアにはジャワ原人や北京原人など、アフリカから進出してきた大柄で進歩した原人「エレクトス」がいた。しかし、脳容量が平均約990cc、身長が160~170センチあり、祖先にしては大き過ぎるとの見方があった。
このため、より原始的で小柄な原人「ハビリス」がもっと昔にアフリカから来たとの説が近年提唱されるようになったが、アフリカ以外では化石が見つかっていない。
東大の久保大輔特任研究員や同博物館の河野礼子研究主幹らは約2万年前のフローレス原人の成人女性頭骨化石について、X線コンピューター断層撮影 (CT)で内部を精密に測定し、模型を作製。壊れた部分を粘土で修復した。その結果、頭骨内部の脳容量は426ccと、従来推定の約400ccより大きい ことが分かった。
同博物館の海部陽介研究主幹は「約100万年前の初期ジャワ原人の脳容量は860cc程度で、頭骨の形もフローレス原人に近い。脳容量の差が縮まり、初期ジャワ原人が祖先の可能性が高くなった」と話している。
【解説】 フ ロ ー レ ス 原 人
現生人類と同じヒト(ホモ)属の新種。2003年にインドネシア・フローレス島の洞窟で化石が見つかり、人類進化研究史上、最大級の発見と言われる。周 囲から孤立した同島ではゾウなど他の動物も小さく進化する「島しょ化」が起きた。(1)餌が乏しい(2)小柄な方が体温上昇を抑えられる(3)天敵の大型 肉食獣が少ない-などの原因が考えられている。
『新聞赤旗』2013/2/2 転載
”他人”の上手なやり方 見習います
チンパンジーもヒトと同じように、別のチンパンジーやヒトの道具の上手な使い方を見習っていることを、京都大学霊長類研究所の山本真也特定助教たちのグループが実験で確かめ、30日付のオンライン科学誌『プロス・ワン』に発表しました。
実験はジュースが入った容器を透明な壁の外側に置き、壁にあけた小さな穴からストローを容器に差し込んで、飲んで貰うというもの。最初、年齢が7歳から41歳までの9頭のチンパンジーに1頭ずつやって貰いました。その結果、4頭はストローで吸いましたが、5頭はストローを取り出しては先端に付着したジュースを舐めるやり方を繰り返しました。
ストローで吸ったグループは50mlのジュースを30秒以内に飲むことが出来ましたが、先端を舐めるやり方をしたグループは10分掛かっても飲めたのは最大20ml程度でした。
次に、先端を舐めるやり方をしたチンパンジー1頭を、ストローで吸ったチンパンジー1頭と一緒にして実験しました。先端を舐めるやり方をしていたチンパンジーは、別のチンパンジーがストローで吸う様子をまじかで観察し、自分も同じようにストローで吸うように変りました。
先端を舐めるやり方をしていた5頭のうち4頭がこの実験を通して、ストローで吸うようになりました。もう1頭も、人がストローで吸うのを見て自分もストローで吸うようになったと言います。こうした能力は年齢に関係が無いことも分かりました。
他社の技法を見て学び効率を改善することは、世代を重ねて文化を発展させる「累積文化」に取って重要で、これまではヒト特有と考えられてきました。今回の研究結果は、その基盤をチンパンジーも持っていることを示していると研究グループは考えています。
最近のコメント