2008年1月アーカイブ

RE kaさん

>>「物自体」は既に100年も前に、観念論、唯物論の両陣営から完膚なきまでに論駁されていて
>よろしければソースください

カントの「物自体」は、後に二つに区分けされることになる不可知論のうちの、その一つの主張です。
不可知論にしても、その反論にしてもそれぞれの哲学的主張であって、神の実在と同じく賛否両方ありますので、例えば自然科学における、「ニュートリノ振動が 『実証』された」と言う形で決着が付く訳では有りません。ですから特に客観的なソースと言うものがある訳では有りません。
「完膚なきまでに論駁されている」と言うのは、私はそう思っている、と言うことです。現実に不可知論は広範に生き残っていますから、そうでない人たちも大勢居るということですね。

RE tm氏

tm氏と私の間に明らかな見解の違いが有ることは重々承知しています。それでいいのだと思っています。
例えば、私はニーチェは最悪の哲学の一種だと思っていて、どうもこれだけでtm氏からすれば病気に見えるかも知れません。
カントについても、その汲むべき内容が多い中で、tm氏が話しに出された「物自体」は既に100年も前に、観念論、唯物論の両陣営から完膚なきまでに論駁されていて、哲学的には決着が付いていると言う認識です。

しかしこれらは私の見解であって、神の実在性云々と同じく、ここで哲学に関して果てしない議論をしようとは思いません。
私の『科学主義』について「病状」を批判されるのも一向に構いません。

ただ一点、事実誤認が有りますので指摘させてもらいます。

 

  nnさんから、私が言及していない問題にまで踏み込んでの問題提起を頂きました。

例えば自称カッパ学者と「バカ市長の公約した予算消化」「おかしな事業」との関係。
或いは、「アメリカの一部で(或いはイスラムの一部で、又はオウムで)、宗教・神の名で行われていること」と、「営利拡大の為と正当化をされた企業による乱開発」「マイナスイオンなどの欺瞞商品」「国の名のもとに行われる暴力行為」との関係。等など。

私はあまりそう言った、話しの一般化はしていなかったつもりだったのですが。
ドーキンスが、一部の急進的原理主義者による産科医院放火や、医師の殺害を批判することと、一般的に悪徳医師が批判されるべきだと言うことを混同していないのと同じように。

 

   >妖精について知りたければ「妖精学者」に聞くのはアタリマエなのではにゃーのか?(189 tn氏)
>ぶっちゃけ、私がカッパについて知りたければ「自称カッパ学者」に聞きますね。多分。(202 ah氏)

それはそうでしょうね。私もそうすると思います。あくまで空想上の「妖精学」、「カッパ学」として。水木シゲルに期待するのも、その域をでないでしょう。
ドーキンスもそう言った「.........学」まで否定したり、攻撃しているものではないと思いますよ。

しかし例えばその「自称カッパ学者」が、カッパは実在するものだと主張し、皿の水が乾くと死ぬメカニズムを「科学的に」証明し、その「事実」を国語の民話 としてでなく理科の教科書に掲載することを要求し、カッパの棲息環境を守る為に河川の改修や護岸工事に反対し(川をコンクリートで固めることの是非につい て、ここでは置いておくとして)、その工事の責任者を殺害したり工事事務所に放火したとしたら.........、

アメリカの一部で(或いはイスラムの一部で、又はオウムで)、宗教・神の名で行われていることは、事情は違っても概ねこう言ったことではないでしょうか。それもはるかに大掛かりに。

RE egoさん

>ゴリラが水の中に入れば、背骨にかかる力が減るから、水の中なら陸上よりも立って歩くのは楽でしょうね。
でも、ゴリラでも二足歩行の練習になるほど長くは歩けないでしょう。

>水中での二足歩行の練習が直立二足歩行の手助けになるには、骨格と筋肉を直立二足歩行向きに変化させる淘汰圧がかかる必要があります。
でも、背骨には逆の淘汰圧になりますね。
水の中で背骨にかかる力が減れば、背骨が弱くなります。足の筋肉は強くなるでしょうが、背骨が弱くなるのは現在の進化の結果に反しますよね。

>一方、陸上で二足歩行の練習の練習を行なうなら、背骨も筋肉も鍛える事ができますね。

RE pxさん

>アシカとかセイウチとかは水中生活に適応しているけど直立歩行の道は選ばなかったみたいですけどね。

 

人間は現に今、直立二足歩行をしています。その現実を踏まえて振り返って見たとき、若しかしたらその契機は水の中に有ったのではないか、或いはサバンナか、森の中か、と言う話しをしている訳ですね。
話しの出発点を水中生活から始めて、アシカやセイウチにまで広げている訳では有りません。

>「水中の資源を水中での二足歩行により採取していても、必ずしも地上での二足歩行には直結しない」

勿論そうです。
私も(おそらくNHKも)この例が、いつかゴリラも二足歩行に向かう過程を示している、とか、そんな捉え方をしている訳では毛頭有りません。

>湖底の足跡化石が発見されたら一番喜ぶのはアクア説の支持者だろうし、

多分そう言うレベルの問題じゃないと思うんですよ。
No-114でも書きましたが、ヒトが分岐した頃の歩行様式を直接見せてくれる足跡化石が出てきたら、これはもう「アクア説」「サバンナ説」の縄張りを云々するような、ケチな問題じゃなくなってくるでしょうね。

>>上記NHK番組の中でも触れていますが水の中は浮力が働きます。
>それでもサバンナよりはずっと足跡が残りやすいですよ?

私はmkさんの「特に【水辺・水中を歩いていたなら湖底の足跡の化石が多く残るはず】だが」に反論しただけです。

mkさんの書き込みを読んでいると、「アクア説は科学的に支持される仮説ではない」とか「先入観と勉強不足からくる大きな誤解です」とか、そんなレッテル張りばっか。
勉強不足には間違いないので別に構わないのですが、繰り返し述べているように私が聞きたいのは、「科学的で先入観に囚われない、勉強の行き届いた」ミケさんご自身の主張なんですけどね。

........と言うことでお伺いします。

>「アクア説は現状では科学者に相手にされていない」
「アクア説は科学的に支持される仮説ではない」
少なくとも現状では、ね
それを理解したうえでそれでも支持する(信じる)のなら構わないです。

 

最近の情報、論調に接していますか?

>それと、人類史の仮説はイーストサイドストーリーとアクア説の二択ではないことにご注意

一番良いのはmkさんが、アクア説でもなくイーストサイドストーリーでもない、仮説を挙げて頂くことだと思います。
冒頭述べたように、私は何でもいいのです。「直立二足歩行」を無理なく説明して頂ければ。

ただ私が承知しているのは、「サバンナ説」、それを洗練した形での「イーストサイドストーリー」、「サバンナ・森林モザイク説」、そして「アクア説」しか有りません。
その他に考えられるのは「樹上説」程度でしょうか。
アフリカの地質学的環境・歴史を考えると、それ以外の「説」が私にも思い浮かばないのです。

イーストサイドストーリーは完全に破綻しています。
サバンナ・モザイク説は地理的・生殖隔離と言う点で難が有ります。
樹上説(が有ったとして)は、そもそも分岐する為の淘汰圧の説明が出来ません。

是非説得力のある説をお聞かせ下さい。

    

 

>最古の人類の足跡は火山灰についていた(水中ではなく陸上を歩いていた)

メアリー・リーキーが発見したラエトリの、アウストラロピテクス・アファレンシスの足跡化石は、おそらく世界で最も貴重で有名な足跡でしょう。ドン・ジョハンソンが1974年に発見した同種の全身化石ルーシーと並んで、ヒトの直立二足歩行を最初に決定付けたものです。
特にチンプと同程度の脳容量だと推測されるアファレンシスによるこの足跡は、「ヒトは脳容量の増大に先立って先ず直立二足歩行を獲得した」ことを明らかにした点で、人類史を見直す程の意義が有ったと思われます。

>生物による地球の歴史上最大の「環境破壊」は光合成生物による「有毒な」酸素ガスの増大ではないかとw
 まぁ、あれは「遺伝子変異を伴う形質変化」ですので雄さんの定義からは外れるので問題ないでしょうけど。

...ですね。
現代文明を支えている鉄は全て、その「生物による地球の歴史上最大の『環境破壊』」による副産物ですが、その営為は「遺伝子変異を伴う形質変化」に依存し、そこに意図された目的は無く、一つの特徴としてえらく時間がかかることでしょう。

道具は身体器官の延長・代用ですが遺伝子の変異に依存しません。社会の知識の集積によって急速に発展させることが出来ます。
前にも書きましたが、ある種の恐竜が前肢を羽根に「進化」させて空を飛ぶまでに、何万年掛かったか、私は承知していませんが、ライト兄弟が初飛行に成功してから100年程で、人間は太陽系の外側を覗うまでにその「翼」を進化させています。

チンプやボノボなど他の類人猿とヒトとの遺伝子的差異が、1パーセントとか1.6パーセントとか取りざたされています。生物としては本来殆ど差の無い両者の間の、誰が見ても直ぐ分かる行動様式のこの質的な差は、主に道具に有ると思っています。

そしてその道具の基礎は、直立二足歩行に有ったのだと。

    

 

>結局霊長類にとって普遍的な行動であって、ヒト固有の行動ではないという結論になったりして。

そう言う面は多いに有ると思います。

  • 応急的に直立二足歩行をする例は、霊長類で幾つも観察されています。
  • 道具の使用だけでなく作製まで、その観察例は他の動物で結構有ります。
  • ニホンザルは30種類くらいの鳴き声(音声言語)で、コミュニケーションを取っているそうです。これは他の霊長類、クジラ、イルカ、など多くの動物にも広く見られます。
  • チンプやボノボに見られる「群れ」は、おそらくヒトとの共通祖先にも当然見られたことでしょう

だから共通祖先から分岐した時、そう言う「普遍的な行動」をリソースとして、ヒトがその後の進化の土台とし得たことは当然のことだと思います。

そしてそれらの「普遍的な行動」は、他の霊長類と同じく、進化生物学的な適応以上のものではなかったでしょう、ヒトの出発点においても。

昨日(2008年1月3日)16時50分からののNHK番組、「大自然スペシャル―シリーズ赤道・アフリカ」で、興味深い映像を見ることが出来ました。

赤道直下のアフリカ西の果て(カメルーン、或いは赤道ギニア辺りか?)、海岸に熱帯雨林が迫り、森や湿地や草地が点在しているところでのシーンです。
ここでの湿地を「バイ」と呼ぶのだそうですが、このバイに生える草は普通の草地に無い栄養素を含んでいて、様々な動物が集まって来るようです。

この辺に生息している西ローランドゴリラも、通常は木の上を活動領域にしているのだが、時にこの草を求めて、他の動物同様バイに集まる訳です。
西ローランドゴリラは、ここで信じられない行動を取ります。NHKのナレーションを、そのまま紹介しましょう。
「一頭が水の中に入って行きます。なんと直立で歩いています。水の浮力を借りて重い体を、真っ直ぐに、しっかりと支えています。
同じアフリカで人類の祖先は初めて二足歩行をするようになりました。それはこうした状況で生まれたのではないか、そんな想像さえ抱かせる光景です」

    

 

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