視覚系とカラー認識-2
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視覚系とカラー認識-2
色覚説
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三原色説と四原色説
外界の無限とも言える色を認識するには、それを感覚する組織が人間の眼の中に存在する必要がある。これは自然の推理です。
しかし、視野の何処においても全ての色を感覚する為に、眼の奥のスクリーン上の全ての場所に、何千、何万と言う色に対応した神経組織が、予め用意されている、と言う考え方には無理が有ります。そこで、ある限られた幾つかの神経組織の、複合的な働きによって様々な色を認識できると言う説が提唱されました。その代表が次の二つの説です。
双方の説は一見矛盾しているような内容を持っていますが、今日では多くの学者によって両方とも正しいと認められているようです。
三色説(ヤング、ヘルムホルツ説)
人間の眼の受容器には、光の三原色に当たる、赤(R)、緑(G)、青紫(B)のそれぞれに反応する、3種類の神経細胞があり、その組み合わせによってあらゆる色を認識できると言う説です。
現在で言えば、ディジタルカメラが3種類の感受性を持つCCDによって、フルカラーの写真を撮ることが出来る仕組みと同じです。
R・G・B 3色の加法混色で、殆どの色が作られることは、当時でも知られていたし、又実際、人間の視細胞には3種類有ることなどが確認されている現在、自然に理解できる説です。
しかしこの説の難点は、人間の視覚系統に起こる「残像現象」を説明できないことです。
ヤング
イギリスの医者、物理学者、考古学者、色覚の三原色説を唱えた。
ヘルムホルツ
ドイツの生理学者、物理学者。ヤングの説をさらに強調し、理論付けた。
四色説(へリングの反対色説)
三原色説では、紫の光が眼に入った場合、RとBの視細胞が反応して知覚できることが説明できます。これについては心理的にも素直に理解できることです。つまり、紫の中に、赤、及び青の色を感じ取ることが出来ます。
同じく、 黄色の光は、RとG、二つの視細胞が等分に刺激されて「黄色」と知覚される訳ですが、しかしこの場合黄色の中に、赤、或いは緑を感じることは、心理的に難しいと言う事情が有ります。
つまり黄色は他の色を感じることが無い、独立した色に感じます。
ドイツの生理・心理学者のヘリングは、1874年、新しい色覚説つまり「反対色説」を唱えました。
- 赤、黄、緑、青、及び白、黒の6色を色知覚の基本とする。
- このうち赤、黄、緑、青、で全ての色相を知覚できる(へリングの四原色)
- 赤と緑の混合、つまり「赤緑」と言う色は存在しない。同じく「青黄」も存在しない。従って赤と緑、青と黄を互いに対立した色、つまり「反対色」とした。
- 赤-緑、青-黄、白-黒、この3つの反対色の対が、3種類の視細胞に対応し、それぞれの反応で色が知覚される。
上記へリングの反対色説によって、順応、対比、補色残像現象を説明できるようになりました。
段階説
三原色説、反対色説、どちらが正しいかの論争はその後も続きました。
1964年、日本の富田教授らの、鯉の実験によって、赤、緑、青に反応する三種類の錐体が確認され、三原色説が裏付けられました。
それに相前後して、ジェームソンとハーヴィッチによる、打ち消し法と言う手法によって、反対色説を示唆する結果が得られ、さらに反対色説を示す神経節の反応も確認されています。
現在では網膜の初期段階では三色説、その後の段階で四色説というように、二つの説を組み合わせた「段階説」が主流となっています。
しかし、生きている眼の機能でもあり、現在に至るも完全に解明されている訳では有りません。
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