2014/1/7 新聞赤旗より転載
440万年前
アフリカ東部エチオピアの約440万年前の地層から見つかったラミダス猿人(アルディピテクス・ラミダス)が人類の系統であることを示す新たな証拠が見つかった―。東京大学総合研究博物館の諏訪元・教授の加わる国際研究グループが、6日公表された科学誌『米科学アカデミー記要』電子版に発表しました。
ラミダス猿人は1992年、米・カリフォルニア大学のディム・ホワイト教授率いる国際研究グループのメンバーとしてエチオピア・アファール地域のアラミスで探索していた諏訪教授が初めて発見しました。その時は1本の歯の化石だけでしたが、その後、頭や腰、手足など女性とみられる全身骨格の多くがそろった化石など、少なくとも35体分が見つかっています。
ラミダス猿人が見つかるまで、最古の人類として知られていたのはエチオピア・アファール地域のハダール等で見つかった三百数十万年前のアファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)で、ラミダス猿人がどのような人類だったのか、研究者の関心を集めました。
研究グループは、2009年にこれらの化石の詳細な解析結果を米科学誌『サイエンス』に発表。ラミダス猿人が、光が下まで差し込む比較的明るい森に棲んでいて木に登ったりしていたものの、主に地上を2本の足で歩き、木の実や昆虫、小さな動物を食べる雑食性の人類と結論付けました。
しかし今世紀に入ってアフリカ各地で見つかった600万年以上前かそれより少し後に生きていた3属3種の猿人との関係などを巡って研究者の間で議論が有り、ラミダス猿人が樹上生活にも適応していたことから、人類ではなく類人猿だとする見方も示されていました。
研究グループは今回、アウストラロピテクスやホモ(ヒト)など人類の系統と、ゴリラやチンパンジーなど類人猿で大きな違いが有ることが知られている頭蓋底(とうがいてい)について詳細に解析しました。その結果、ラミダス猿人の頭蓋底は頸(けい)動脈が通る穴の間が類人猿より広く、アウストラロピテクスに似ていることなど人類の系統であることが確認できたといいます。
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