2013年2月15日付、新聞赤旗転載
ガンマ線天文衛星で実証
超新星の残骸は、地球に絶え間なく降り注いでいる宇宙線を生み出す”天然の加速器”だった―。日米欧の国際研究チームが、ガンマ線天文衛星を使った観測で、長年の仮説を実証する決定的証拠を捉えました。研究論文は米科学誌『サイエンス』15日付に掲載されます。
宇宙線はほぼ光速まで加速された高エネルギー粒子で、大部分は陽子(水素の原子核)です。銀河内を飛び交う宇宙線は、地球到着までに星間空間の磁場で進路がゆがめられる為、どこから来たのかは分かりません。
宇宙線の起源を巡っては半世紀前、超新星爆発の衝撃波によって陽子が加速する「フェルミ加速」と呼ばれるメカニズムが理論的に提唱されましたが、決定的な証拠は有りませんでした。
研究チームは、ガンマ線天文衛星「フェルミ」に搭載した大面積望遠鏡で、銀河系(天の川銀河)内の二つの超新星残骸を4年掛けて観測。その結果、中性の「パイ中間子」と呼ばれる粒子が崩壊した時の特徴的なガンマ線のデータが得られました。パイ中間子は、加速された宇宙線が超新星爆発の周辺の物質と相互作用した時に生成されます。研究チームはフェルミ加速を捉えた動かぬ証拠だとしています。
超新星残骸が、爆発後どの位の機関に渡って宇宙線の源であり続けるのかはまだ謎だと言います。
研究チームの田中孝明京都大学助教は「これまで宇宙線の大部分は超新星残骸で加速されると考えられてきたが、今回、その仮説が実証出来た。今後は、時期X線天文衛星アストロHによる観測で、どれくらいのエネルギー迄加速されるのか突きとめたい」と話しています。
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