ヒトから人間へ

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人はどこから来てどこに行くのか?
     人間ってなんだ?

 

否定できない二つの事実

人間は本当に不思議な生き物です。

  • 生物学的近縁度
    生物学的にはチンパンジーやゴリラなどと殆ど違いがないことが分かっています。
  • 人間だけの高度な知性と文明
    数百万種の動物の中、人間だけが高度な知性を獲得し、他の全ての生物の消長と地球環境に影響を与える程の文明を築き、地球全域にのさばっています。

人間の、この一見橋渡し不能に思われる相反する二つの側面の統一的理解が、「人間の本質」論の核心でしょう。

 

検証

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※ 上掲系統樹で、分岐年代、DNAの相違点の目盛りは厳密なものでは有りません。大まかな目安としてみて下さい
DNA塩基配列に関する分子進化学と分子時計はこちら

1、生物学的近縁度

人間が如何に「サル的」であるか、事実から見てゆきましょう。

  1. DNA塩基配列の差、1.23%
    近年のゲノム解析の結果、人間とチンパンジー・ボノボとの塩基配列の差は1.23%と出ています。これが今のところ最新のデータです。人間は生物学的にはチンパンジー達と99%遺伝情報を共有する、単なる「裸のサル」に過ぎないと言えます。

※ 1.23%については色々な見解が有ります。しかしいずれにしても一つの(重要な)指標です。

  1. 類人猿同士の近縁度、逆転現象
    同じ分析で、オランウータンとの差は2.8%、アカゲザル(ニホンザルも同じ)で6-7%、。ゴリラも既に解析が出ていてヒトとの共通点は98.25%、ほぼ2%の差と出ています。人間にとっての一番の近縁は当然チンパンジー、ボノボですが、彼らから見た時、他のどの「サル」と比べても(ゴリラと比べてさえ)、人間の方がはるかに近い一番の「親戚」だと言うことです。

  2. 「旧式のサル」
    人間とチンパンジー・ボノボグループが分岐したのが約700万年前、その後230万年ほど前に、チンパンジーとボノボが分岐しています。つまりチンプ・ボノボの方が人間より「進化」していると言えます。
    人間はチンプ、ボノボに比べると分岐年代が古く、サル仲間の中の内側、言わば「旧式のサル」だと言えなくも有りません。

 

 今どう言う意味からも人間を、他の類人猿・サル達の外側に置いて、自分だけ特別だと位置づける生物学的根拠は全く有りません。

 

2、人間だけの、卓越した科学技術と思考、文明

この「裸のサル」がパソコンやiPadを使い、インターネットを通してこの雑文を読んでいる。それで証明される高度な文明、それを作り上げた人間だけの思考と科学技術が、ますます発展速度を上げながらここに存在します。
それに対して他の、すべてのサル・類人猿は森やサバンナの住人として、環境依存の生活を数百万年、数千万年に渡って殆ど変わることなく続けています。

 

人間の本質-2つの側面の橋渡し

「人間とは何か?」-この自分自身の問題について、実は解答が混迷しています。
相反する2つの側面が、それぞれあまりに明確で、それが一見、橋渡し不可能なほど隔絶しているからでしょう。

片方だけに目を取られては答えが出ません。両者の統一的理解、「生物学的連続と社会への飛躍」が必要です。

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