>「アルディ」の骨盤,手,足の形態が直立二足歩行の特徴を示しながら,"opposable big toe"(拇指対向性の足)という樹上生活の特徴も併せ持っていたということは,森林の中で樹上と地上の両方を生活圏としながら,直立二足歩行が獲得されたことを強く示唆しているように思えます
>ただし,復元図の「長い腕や側方を向く肩関節」などから受けたSN30の第一印象と異なり,「アルディ」の樹上適応の程度は,"palmigrade clambering"(蹠行性よじ登り)の特徴はみられるものの,ゴリラやチンパンジーのような"suspension"(懸垂)や"vertical climbing"(垂直登り)の特徴は欠いているようですね
>Whiteらは,直立二足歩行の起源は"open grasslands"だったという古い説に対して,今回の発見は,
(アウストラロピテクスの出現までの)初期ヒト科の進化はサバンナでもサバンナモザイクでもなく,"wooded habitats"で起こったことを示唆していると主張しています
>また,現生のチンパンジーは四足で歩くのと同程度に二足歩行に洗練していますし,オランウータンも細くてたわみやすい枝を移動する際には,二足歩行を多用していることが分かっています。
(オランウータンの「高度な樹上適応」はヒトやチンパンジーとは独立に獲得されたものなので, この「樹上二足歩行」はヒトやチンパンジーとは独立に獲得された可能性が高いでしょう)
つまり,そもそも「樹上生活での二足歩行という選択」はそれほど特殊なことではなく,(「アルディ」にみられるように)ヒトの系統は森林の中で,その「二足歩行」をより洗練させていったということですね
>現生人類は遺伝的多様性に乏しく,個体数が減少したことによるボトルネック効果の形跡があるらしいとはいわれていますが,それは現生人類があらわれた後の数万年前の話で数百万年前の初期人類のことではなかったと思いますよ
仮に「700万年前に数百の個体まで減少した」としても,そもそも,700万年前から現在までの間にヒトの系統は数多くの形態種を進化させているわけで,その後もずっと遺伝的に均質であったとは考えにくいでしょう
>Whiteらは,直立二足歩行の起源は"open grasslands"だったという古い説に対して,今回の発見は,(アウストラロピテクスの出現までの)初期ヒト科の進化はサバンナでもサバンナモザイクでもなく,"wooded habitats"で起こったことを示唆していると主張しています
(以上、前回主張へのSN30氏の反論等)、続く
