K高校の思い出

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肝試し

最初に書いたように、K高校はかって全寮制でした。
私がこのK高校に入学した時は、既に全寮制では有りませんでしたが、私は家が遠かったので寮に入りました。
寮の新入生は大体20人位です。当時の寮は旧軍隊の内務班みたいなもので、もう新入生は虫けら扱いでした。


入寮して半月位した新月の夜中、何の前触れも無く新入生は叩き起こされます、
そして一部屋に集められますが、そこには真っ暗な中、2年生の全員と、話の上手い3年生がいます。その3年生から、ここに紹介した幾つかの話を含め、「K高校七不思議」を全て聞かされます。
その後、一人一人順番にその現場のツアーをさせられる訳です。これを「肝試し」と呼び、新入寮生が必ず受ける洗礼でした。

勿論私は三年生の時、その「七不思議」の語り部でした。

■ 肝試しの思い出-1

そのツアーは、一年生のとき、 当然私も体験しました。
私は当時から、幽霊とかお化けとかは信じていませんでしたが、それでもやはり気持ちのいいものでは有りませんでしたね。
「鏡」の廊下を通り、「第三校舎」に行き、階段を降りて石垣を登り「蒲鉄の線路」に登る。
最初に「トンネル」をくぐり、引き返して「朝鮮人の墓場」に参って帰る。

通常こう云った肝試しには、脅かす役回りの人間がいたり、実際に回ったかどうか、確かめる為の見張りがいたりするものですが、こう云った者は全く居ません。真っ暗な中、兎も角自分一人。
一番目のツーリストが、目印になる物を所定の場所、例えば墓石の上に置いてくる。次のツーリストがそれを持ち帰る。それだけ。

やはり最大のビューポイントは、「蒲鉄の線路、トンネル」「朝鮮人の墓場」です。
石垣を登り、真っ暗な線路に出る。線路を歩いてトンネルや墓場に行く訳ですが、敷石の上を歩く自分の足音だけが,真っ暗い中、ザッ、ザッっと異様に大きく響くのです。

その音を聞きつけて、眠っていたナニモノかが目を覚ましはしないか、そしてうごめき出したそのナニモノかが、真っ暗いなか、自分の足の下で舌なめずりをしていないか、
お化けを信じていない私にしても思わずそんなことを考えてしまうのです。

音が出ないように、枕木を選んで歩こうとするのですが、暗いし、歩幅と会わず簡単ではない。

■ 肝試しの思い出-2

私が三年生の時、語り部となって、2、3人の一年生に 肝試しをしたことが有ります。一人が「観光地」を一巡するには2,30分掛かるので、一晩に出来る肝試しはそんなに大勢単位では出来ないのです。
一通り七不思議を語り、さてツアーを開始しようとしたのですが………、

そのうちの一人が「ダメです、ダメです、ボク、行けません」と言うんですね。 これには驚きました。
最初に書いたように、どんなことにも一年生は絶対服従です。 だから、こんなことで上級生の命令を聞かない、なんてことは想定もしていなかったんですね。
なだめたりすかしたり、怒鳴ったりと、色々やりましたがとうとうダメでした。

この男、2年生になって、いざ自分が1年生に肝試しをさせる際、どう言うことになるんでしょうね。その時私は卒業していて、顛末を知ることは出来ませんでしたが。

遠い昔の思い出です。


※ なおここでお断りをしておきますが、この「七不思議」は全てフィクションです。
蒲原鉄道のトンネルが朝鮮人の囚人によって掘られた、などと言う話も有りません。


 

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